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小説ONE PIECE

こんにちは☆
このBLOGは、週刊少年ジャンプ連載中の尾田栄一郎先生のマンガ、
『 ONE PIECE 』を小説化(というか、文章化)したものです。ネタバレ小説です。
2次小説ではありません。

ちなみに。
勢いあまって書いてしまった2次小説ブログはコチラ→ 小説ONE PIECE(ワンピース)/B面

ジャンプやコミックスをがっつり読んでらっしゃる方も、これから読もうかなどうしようかなと悩まれてる方も、楽しんでいただけると嬉しいです。


参加しています。
お手間でなければ、ぽちっとな。

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更新情報


2011.10.30  第39話 更新
2011.10.16  第36話~第38話 更新
2011.10.10  第33話~第35話 更新
2011.9.25  第31話~第32話 更新
2011.9.24  第29話~第30話 更新







もくじ


はじめに。

< 東の海(イーストブルー)編 >

フーシャ村   第1話 前編  第1話 後編

ゴート島     第2話

シェルズタウン 第3話  第4話  第5話  第6話  第7話

オレンジの町   第8話  第9話  第10話 第11話 第12話 第13話 第14話 第15話 
          第16話 第17話 第18話 第19話 第20話 第21話

珍獣の島    第22話

シロップ村   第23話 第24話 第25話 第26話 第27話 第28話 第29話 第30話
        第31話 第32話 第33話 第34話 第35話 第36話 第37話 第38話
        第39話
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第39話 誰が為に鐘は鳴る

ルフィは睨んでいた。

坂の下では海賊たちが次々と斬られ、倒れていく。
目に見えない速さで襲い掛かる彼らの元船長によって。
それを睨みつけるルフィも、少しずつ斬られていく。

彼は叫んだ。

「出て来い執事いィイイ!!!!」

その時、彼の左後ろで何かが跳ね返る音がした。
そして。

「うっ!!!」

キャプテン・クロの刃はルフィの腹部を切り裂く。
しかし、ただ単にやられているだけではない。
ルフィはクロが離れる瞬間、彼の服の端を掴んだ。

「ああああ!」

ズダアン!!!

そしてそのまま地面に思いっきり叩きつけた。

「見つけたぞ」

ルフィはにっと笑った。
クロも不適に笑いながらゆっくりと起き上がる。

「このやろうが・・・、黙って斬られてりゃいいものを・・・!」

そして、坂の下を見下ろして言った。

「みろ、貴様のおかげで中途半端に死にきれねェかわいい部下どもが苦しんでる」

坂の下ではクロに襲われた海賊たちのうめき声が響く。

「畜生ォ・・・」
「もうやめてくれ」
「痛ェよォ!!!!」

ルフィはその様子を黙って見ていた。
それに気づいたクロが言う。

「・・・何か言いたげだな」
「うん」

ルフィはこぶしを固めて言った。

「お前みたいな海賊(おとこ)には絶対におれはならねェ」

クロはメガネのズレを直しながらせせら笑う。

「ならないんじゃねェ。なれねェんだ、てめぇごときにはな・・・。」

そして再び両腕をだらんと下に下ろした。

「─── もっとも、ここで死んじまうんだが・・・」

そしてゆっくりと身体を左右に揺らし始める。
『杓死』の構えだ。

「させるかっ!!!」

ルフィはクロに前から飛びつくと、腕と脚をクロに絡めた。

「やってみろ、足技」







「もうやめてください!遺書なら書きますから、その子達に手を出さないで!!!」

一方林では、カヤの叫び声が響いていた。
ウソップ海賊団たちも善戦したが、今立っているのはピーマンのみ。残りの2人は地面に倒れこんでいた。

「だ、だめだ!そんなもん書いたらカヤさん殺されちゃうぞ!」

ピーマンがジャンゴに顔を踏みつけられながらも、必死でカヤを止める。

「ばかめ、勝手に条件出すんじゃねェよ」

ジャンゴが呆れたように言った。

「C(キャプテン)・クロには全員消せと言われてる!!!」

そう言うと、ピーマンを思いっきり蹴り飛ばした。

「うあ!」
「ピーマン君っ!!!」

地面に転がる海賊団たちを見て、カヤはジャンゴのチャクラムを握る手に力をこめた。

「言うとおりにしてくれないのなら・・・、私はあなたになんか殺されない!遺書も書きません!!!」

そう言うと、チャクラムの刃の部分を自分の喉元に近づける。
ジャンゴは慌てた。

「んなっ!ちょっ、ちょっと待て、早まるな!遺書だけは間違いなく書いてもらわなきゃ困るっ!!」

書く前に死なれたら、これまでの苦労が水の泡だ。
ジャンゴの決断は早かった。

「よし、ガキどもは見逃してやる!とはいっても逃げられる状態でもねェがな」

それを確認すると、カヤはゆっくりと遺書を書き始めた。

「・・・血判を忘れるな」

ジャンゴが一番大事なことを支持する。

海賊団の3人は、地面に転がったままそのやり取りを聞いていた。

「このまま寝てたらおれたち助かるな・・・」
「うん、カヤさんが助けてくれたんだ・・・!」
「キャプテンいつも言ってるよな。負けると思ったらしっぽまいて逃げろってさ」

3人の顔に悔しさがにじむ。

「・・・やっぱりキャプテンうそつきだ」
「自分は戦ってたじゃないか。あんなに血だらけで、ぼくたちまでかばって」
「カヤさんは死なせないぞ・・・!おれ達はウソップ海賊団だ!」

そうこうしているうちに、遺書が書きあがったようだ。
ジャンゴが内容を確かめる。

「─── ”執事クラハドールに私の全財産を譲る”・・・よし・・・、確かにお前の遺書だ。術をかける手間も省けた」

遺書を大事に懐にしまいこむと、ジャンゴは両手でチャクラムをくるくると回し始めた。

「じゃあ死んで貰おうか。てめェが生きてちゃ遺書もただの紙キレだ」
「あの子たちを殺さないと約束してくれるんでしょうね」

カヤの手が震えている。
しかし、彼女はもう覚悟を決めていた。

ジャンゴが笑って言う。

「ああ、安心しな。おれはこう見えても正直者で通ってんだ」





「いた!!!」

カヤと海賊団を追いかけていたウソップ・ゾロ組はようやく視界にみんなの姿を認めることが出来た。

「止まれ止まれ、いた。いた。いた!!!」

ウソップはゾロの胸をばしばし叩きながらそれを伝える。
ばしばしばしばしばしばし・・・。叩きすぎ。

「いてェいてェ!たたくな、そこ斬られてんだぞ!!!」

ゾロは思わず急停車。

「あそこだァ!」

ウソップの指差す方向には、ジャンゴとカヤの姿が。

「良かった!まだ生きてる!!!」

ウソップはほっと胸をなでおろす。
しかし、今にもジャンゴはカヤに斬り付けそうだ。

「でも大ピンチだ!ここで下ろ・・・」

言い終わる前にゾロに落とされた。
仕返し?

「よし行って来る」

ゾロが走る。

「そこまでだ、催眠術師っ!!!」

─── この距離で間に合うか!!?

「な!あいつ追って来やがったか!!」

林の向こうからこちらに向かって走ってくるゾロの姿が目に入ったジャンゴは、チャクラムをカヤに振りかざした。

「さっさと用を済ませたほうがよさそうだ」

カヤの首を掴む。

「うっ・・・!」

その時だった。

「そうはさせるかっ!!!」
「ハウッ!」

地面に転がっていたはずの海賊団たちが、スコップをジャンゴの尻にお見舞いしたのだ。

「ガキどもがァ!!」
「うわあああ!」

尻の痛みをこらえ、海賊団たちを一蹴するジャンゴ。
そして走ってくるゾロに向かって不適に笑った。

「はっはっは、一足遅かったな腹巻きぃ!」

しかしゾロは笑う。

「そうでもないぜ」

ゾロはそばの木の枝をスパッと斬りおとした。

「そう!その枝が邪魔だったんだ」

後方でウソップが笑う。

「何!?」
ジャンゴが戸惑う。

「ウソップさん・・・!」
カヤが驚く。

「キャプテーン!!!」
海賊団たちが期待を込めて叫ぶ。

「くらえ催眠術師!!」
ウソップがパチンコを構えた。







「くそっ!離れろ貴様っ!!!」

坂ではクロがルフィにしがみつかれていた。
腕にルフィの腕を巻きつけられ、胴もルフィの脚が絡みついている。
『杓死』を使おうにもルフィが邪魔で使えない。

ルフィが告げる。

「これでお前の3年の計画も完全に失敗だ」
「何だと!!?」

坂の下では海賊たちがクロとルフィの様子に驚いていた。

「あいつ・・・、C・クロをとらえた」
「もしかして、あいつが勝てばおれたち殺されずに済むんじゃねェのか・・・?」
「や・・・やっちまえゴム人間ーっ!!!」
「C・クロをブッ潰してくれェ!!!」

それを聞いたルフィはイラついたように、クロに頭突きをくらわせた。

「フン!!」
「ぐっ!!」

そして反動をつけて、首を坂の下の海賊達のほうへぐいいいっと伸ばす。

「お前らに応援される筋合いはねェ!!!お前らだって潰してやるから覚悟しろ!!!」

「ぎゃああああああ~っ!!!」

もう海賊たちは何も言えない。
ルフィは首を伸ばしたまま叫ぶ。

「ゴムゴムの・・・」

「ま・・・まさか・・・」

そのまさかが現実になろうとしていた。

「おれの計画は・・・」

クロが叫ぶ。

「おれの計画は絶対に狂わないっ!!!」







ウソップのパチンコがジャンゴに向け火を噴いた。

必殺”火薬星”!!!!





ルフィの首がクロに向かって猛スピードで戻ってくる。

鐘っ!!!!

第38話 海賊団

地面にクロが横たわる。
ルフィは猫の手の爪5本が突き刺さったままの岩を放り投げて言った。

「後5本だな、その変な剣」

にっと笑うルフィに、クロはゆっくりと起き上がった。

坂の下では海賊たちが騒ぎ出す。

「あの野郎・・・、C(キャプテン)・クロの”猫の手”を・・・!」
「まだ片方残ってる!そんな奴ひっかき斬っちまえェ、C・クロォ!」
「おい!その名は禁句じゃねェのかよ」
「確かこの村での名は、クラハ・・・何とか」
「じゃ、クラさんだな」
「クラさん!やっちまえーっ!!!」

そんな海賊達の声援に、クロは言った。

「てめェらは黙ってろ・・・!後でちゃんと全員消してやるからよ・・・。もちろんジャンゴの奴もな・・・」

「な!」
「何でおれ達まで!!?」

海賊たちはみんな一様に青ざめた。







その頃、林の中ではジャンゴがカヤを相手に悪戦苦闘していた。
ウソップ海賊団の3人はすでに催眠術の餌食になり、地面に転がって眠りこけている。

「目を開けねェか、小娘っ!」
「いやです」

目をつぶったまま、きっぱりと断るカヤ。

そりゃそうだ、チャクラムを見なければどんな強力な催眠術でも絶対にかからない。
ジャンゴの催眠術、破れたり。

「あなたの催眠にはかからないわ。遺書なんて書きません」

イラついたジャンゴは実力行使に出た。
無理やり開かせようと、カヤに襲い掛かる。

「ならば力づくで目ん玉開かせてやる!」
「きゃああ!」

その時だった。

「今だ、くらえっ!!」
「コショー目つぶしっ!」

にんじんとたまねぎがジャンゴに襲い掛かる。

「ぬはあっ!ブエっきし!ニっきし!!」

モロにコショーを顔にくらったジャンゴは、たまらず転げまわる。

そこへピーマンが追い討ち。

「とーっ!!!」

「はうっ!!!」

手にしたバットでジャンゴの股間を思いっきり殴りつけた。
コショーと股間のダブルパンチで、ジャンゴは動けない。

「・・・あなた達」

カヤがほっとしたように3人を見つめた。
3人は力強く笑う。

「催眠にかかったフリしてたんだ!」
「そう何度も眠らされてたまるか」
「次の作戦行くぞ!」

そしてすぐさま行動に移す。

ジャンゴは何とか立ち上がる。
しかしそこにはもう誰もいなかった。

「ハァハァ!フーッ!!!・・・チビども・・・、どこへ隠れやがった・・・!」

ジャンゴは辺りを見回す。

「女もいねェ・・・、あいつら先に殺しとくんだったぜ・・・!ナメやがって・・・」

その時、ジャンゴの頭上の木の上からたまねぎがスコップ片手に襲い掛かる。
しかし、相手は一応本物の海賊だ。

「調子に乗るな」

「うわああああ!」

落ちてきたところを、たまねぎはジャンゴに首根っこを掴まれてしまった。

「たまねぎっ!!」

残りの2人が叫ぶ。

─── その声は、追いかけていたウソップとゾロにも聞こえていた。

「─── おい、聞こえたか!?」
「ああ!あいつらの声だ!」

敵は、近い。

「あっちだ、急行だ!!」
「おう!!」

2人は声のした方へ急いだ。



ウソップ海賊団のピンチは続く。

「─── てめェらガキの海賊ごっこが少々立ち入りすぎたな・・・」
「うぐぐ・・・ぐ・・・」
「ホンモノの海賊の喧嘩に出しゃばっちまった愚かさをあの世でよォく・・・、反省するがいい!!!」

そう言うと、ジャンゴはたまねぎを木の幹へ叩き付ける。

「この野郎ォォ!!!」

にんじんとピーマンが同時に叫んだ。







一方、海岸ではクロの言葉に海賊たちは慌てていた。

「じょ・・・」
「冗談やめてくださいよ、C・クロ!!」
「おれ達が村を襲うのは、まだ手遅れじゃないでしょう!!?」
「それにジャンゴ船長があの女に遺書を書かせりゃ、計画は成功のはず!」

そんな海賊たちに、クロは冷たく言い放つ。

「この計画の心配なら不要だ。てめェらの屍さえありゃあ、何なりと濡れ衣を着せられるからな」
「!!!」
「そもそもお前達をこの村から出すつもりはなかったよ。困るんだ、このおれの生存を知る輩に生きててもらっちゃあ」
「そんな!それじゃあおれ達ァ初めから・・・」
「殺される計画だったのか・・・!!?」
「そうとも、まだおれがC・クロと名乗った3年前からな・・・。全ては”計画”だ!!!」

クロがほくそ笑む。
ルフィはそんな彼らに呆れて言った。

「バカかお前ら。カッコ悪ィ海賊団だな」

「フン・・・、格好悪い?海賊団なんてのは、しょせん世間からはみ出した野犬のかき集めだ。”計画”なくしてそんな奴らに何ができる!どいつもこいつも、おれの計画に黙って従ってりゃいいんだ!」

クロは断言する。

「船員とは忠実な船長の”コマ”。部下を生かすも殺すも全ておれの采配次第。いかなる強力な壁でもおれの計画通りに立ち向かい、おれの計画の為に死ねばいい!それが海賊の一船の在り方というものだ!旅の小僧がナメた口を利くな!!!」

ルフィは静かに言った。

「お前がキャプテンで、たとえ何百人部下を従えようと、ウソップには勝てねェ」

「・・・・・!?」

海賊たちにはルフィの言った意味はわからない。
クロも同様だった。

「何?おれが海賊ごっこのキャプテンに劣るってのか」
「そうだ」

クロは思わず笑い出した。

「ハッハッハッハ、面白ェこと言いやがる!おれの武器を片手へし折ったくらいでいい気になるな。何が勝てねェのか言ってみろ!」

そう叫んで、抜き足でルフィの前から姿を消す。
しかし、ルフィはこぶしを構えて笑った。

「器だよ」

「何を!!?」

「お前は本物の海賊を知らないんだ!!!」

ルフィは背後にいたクロめがけ、なぎ払うように吹っ飛ばした。
その様子に、海賊たちは目を疑う。

「あ・・・」
「あいつ・・・、”抜き足”の速さについていきやがった!」

「─── 侮辱されたもんだ・・・!」

クロはゆっくりと起き上がる。

「本物の海賊がそんなに知りたかったんなら教えてやるとも。その恐さをだ・・・!幾度となく視線を超えた、海賊の恐ろしさを・・・!!!」

そう言うと、クロは両腕を下げ、身体を左右にゆらゆらと揺らし始める。

「!!!」

それを見た海賊たちが目に見えてうろたえだした。

「おい、あの構えまさか・・・!」
「あの技をやるんじゃ・・・」
「相手はたった一人なのにか!!?」
「でも、間違いねェ・・・!」

「”杓死”だ!!!」

「”杓死”を使う気だ!!!」
「この位置はマズくないか!!?」
「おれ達までくらっちまう!」
「殺す気なんだよ、おれ達も!」
「さっき言ってたじゃねェか!」

そして口々にクロに訴えかけた。

「キャ・・・、キャプテン・クロ!おれは海へ出てもあんたが生きてるなんて一言も言いませんから、助けてください!」
「てめェ、汚ねェぞ、自分だけ!」
「おれだって言わねェよ、C・クロ、どうか命だけは!」
「おれもだ!」
「おれもだ、おれもだ!!」
「その技だけはやめてください!」
「おれ達何でもしますからァ!!!」

ルフィはその様子に訝った。

「・・・何だっつうんだよ。ぶらぶらやってるだけじゃん・・・」

クロが叫ぶ。

”杓死”!!!







「─── あーあ、不作・・・」

海賊たちの船でお宝を漁っていたナミは、ため息をつきながら甲板に出てきた。

「もう少しはあると思ったのに、お宝❤」

しかし両手で抱えるほどの量のお宝は、がっつりゲットしている。

「さて、戦いは終わった頃かしら?」

船から坂を見下ろす。しかし異様な雰囲気だ。

「・・・何、みんな止まっちゃって・・・。終わったのかな?」

その時だった。
坂の下の海賊たちに異変が起きた。

「うわあああっ!」

一人が急に血を吹いて、倒れる。

「き・・・きたァ!!!」

とうとう始まってしまった。海賊たちは慌てて逃げようと試みる。
ルフィもあさっての方向で起きている斬撃に、ただ驚くしかない。

「な!・・・何であんなとこで・・・!」

しかし、見ている間に1人、また1人と斬り倒されていく。

「うわ!」
「また!」

そして、ルフィの傍の岸壁にも斬られた跡がつけられる。

「今度はカベかっ!」

防ぐ間もなく斬り倒されていく海賊達。

「ぎゃああ!」

海賊の1人が懇願した。

「C・クロ!もう、やめて下さい!」
「無駄だ!これは”抜き足”での無差別攻撃!速さゆえ、本人だって何斬ってるかわかっちゃいねェんだ!疲れるまで止まらねェんだ!!」

その様子を、ナミは信じられない気持ちで見つめいていた。

─── な・・・、何が起こってるの・・・!?突然人が斬られてく!

「この技で船員が一体何十人巻き込まれて・・・ぐえっ!」
「ぎゃああ!」
「助けてェ!!」
「できるだけ身をかがめろぉ!!」

ルフィもその様子をただ見つめていた。

彼も少しづつではあるが、クロの攻撃によって斬られはじめている。
でもそんな事より、今目の前で起こっている出来事が信じられなかった。
海賊が、元とはいえその船長によって襲われているのだ。
仲間が、元仲間によって傷つけられている。

ルフィは奥歯をかみしめた。

「・・・出て来い執事・・・」

海賊たちはまだ襲われ続けている。
そこに向かって、彼は叫んだ。

「お前は仲間を何だと思ってるんだァ!!!」

「ルフィ・・・!!?」 

ナミも驚くほどの、ルフィの叫びであった。

第37話 海賊“百計のクロ”

坂の上では、ルフィとキャプテン・クロが相対していた。
クロが両方の猫の手を広げた構えのまま、ルフィに襲い掛かる。

「死ね」
「いやだ」

素直に答えたルフィは、反動をつけた両腕を思いっきり伸ばしクロの両腕を掴む。
そのまま顔面に両脚で蹴りを入れる・・・ところだったが、掴まれたクロは腕をぐるっと回転させた。

「いっ!!?」

そのままルフィを地面に叩きつける。
しかし、ルフィには打撃は効かない。(ゴムだから)
クロの腕から手を離したルフィは、低い体勢のまま蹴りの体勢に入る。

「ゴムゴムの」

鞭っ!!!

伸びる蹴りを、クロは軽く飛んでかわす。
ルフィの攻撃はこれだけでは終わらない。

「と」

銃(ピストル)っ!!!

パンチがクロに向かって伸びる。
しかしこれも軽くかわす。

「あ」

海賊たちが叫ぶ。

「の・・・乗ってる!」
「伸びた手に乗ってるゥ!!」

クロはルフィの腕に乗ったまま、めがねのズレを直した。

「アクビがでるぜ・・・」
「・・・んのやろうっ!」

ルフィは自分の腕を引っ張って戻そうとしたが、その腕の上をクロは駆け上ってきた。

「うわ」

ドス!

そしてルフィの顔面を思いっきり蹴り飛ばした。
ルフィは反動で坂をごろんごろんと転がり落ちていく。

「あの麦わら野郎、恐ろしく強ェハズなのに・・・!」
「さ・・、さすがだ。キャプテン・クロ・・・!!!」

海賊たちは常人ではありえない戦いにただ驚くばかりだった。
しかし、自分達の元船長が優位に戦いを進めていることに、少しづつ希望を持ち始めていた。

「くそ・・・、口切った・・・」

ようやく止まったルフィは、ぷっと口から血を吐く。

海賊たちが騒ぎ始める。

「やっちまえーっ!」
「キャプテン・クロ万歳ーっ!」
「C(キャプテン)・クロ!!」

しかし、クロは怒鳴りつけた。

「その名前を呼ぶんじゃねェ!!!」

「ひいいーっ!!!」

その迫力に、海賊たちは怯えて口をつぐんだ。

「まだ理解しきれねェのか・・・!」

クロが言い放った。

「この計画はな・・・、C・クロというその名を完全に捨てるための計画なんだ!」

「おれは疲れたのさ・・・。暴れることしか頭にねェてめェらバカどもを考慮して計画を練る至難・・・。ほどほどに名が揚がると、執拗に追ってくる政府の海軍や賞金稼ぎ。ウザったくてしょうがねェ。・・・だから3年前のあの日・・・、おれはおれを殺すことを決意した!」

海賊たちが思い出す。

「あ・・・、あの日・・・」
「ああ、あの事件か・・・」







─── それは、3年前のある夜の出来事だった。

「ジャンゴ副船長!」
「あ?どうした」
「C・クロがお呼びです」

停泊中の船で、突然ジャンゴはクロに呼びつけられた。
何事かと船長室へ向かうと、クロはベッドに寝そべりながら本を読んでいる。
そして彼の口から驚くべき言葉が発せられた。

「ジャンゴ・・・、おれァこの船を下りるぜ・・・」
「な・・・!?何言い出すんだよ、イキナリ!下りるったって、こりゃあんたの船だぜ!?船長もあんただ!」

ジャンゴは突然の話に耳を疑った。
しかし、クロは静かに言う。

「船長ならお前がやればいい。おれは海賊が性にあわねェらしい・・・。この騒がしい生活はもうウンザリだ」

その時、甲板にいた海賊たちが騒ぎ出した。

「C・クロ!C・クロ!」
「北の方角から海軍が現れました!」
「まただ!この一週間で3度目だぞ!!」

ドゴォン・・・!!!

砲弾の音が鳴り響く。

「うわあっ、大砲だァ!」

「・・・見ろ、すぐにこのあり様だ」

外の様子に、クロはため息をついた。
ジャンゴは、何を言ってんだ、とばかりに言い返す。

「そりゃ仕方ねェぜ、おれ達ァ追われるような事やってんだからよ。それなりに名も売れてるし」
「そうさ・・、その売れた名が海軍を引き寄せるんだ。だからおれは、C・クロをやめるつもりだ」

クロの言葉に、ジャンゴが少し呆れる。

「おかしなこと言うんだな!ムダさ、死ぬまで政府はあんたを追い回すと思うぜ?」

しかし、クロの顔は真剣そのものだった。

「死ぬんだ、おれは。世間的におれを殺す」

そう言って彼は部屋を後にする。

「あ、C・クロ、海軍をどうします?ブッ放しますか、大砲を!」

出てきたクロに、海賊たちが声をかける。
しかし、クロはこう答えた。

「いや、小船を一艘下ろせ」

「え?小船!?」

意外な返事に、海賊たちは戸惑う。
そんな彼らを尻目に、クロは1人小船に乗って海軍の軍艦に向かって行った。

「─── 行っちまったよ、キャプテン。一体どういうつもりなんだ?」
「1人で海軍の船に向かうなんて・・・。自首でもする気か?」

残された海賊たちは口々に騒ぎ始める。
その内、自分たちの海賊船に向かって放たれていた大砲の音がだんだんと止んでいく。
すっかり攻撃が止まってしまった頃、甲板でクロの行方を心配そうに見つめていた海賊たちは、また再び騒ぎ始めた。

「─── 攻撃はやんだが、何の音沙汰もねェ」
「まさか、殺されちまったんじゃねェだろうな!」
「大砲準備!船を寄せるぞ、戦闘の用意をしろ!」

海賊たちは慌てて軍艦に船を寄せる。
そして、彼らが見たものは・・・。

「あ・・・!!!」
「か・・・海兵どもが・・・、全滅してる!!!」

海兵たちが血まみれで倒れる中、1人船の手すりに腰掛けるキャプテン・クロの姿であった。

「─── さて・・・、計画に移るか・・・」

三日月に照らされたクロの顔は、冷酷そのものである。

「われらが船長ながら、サム気するぜ、あの強さ」
「まったくだ、相手は鍛えられた軍隊だぜ・・・」

船に残っていた”ニャーバン・兄弟”が冷や汗をかいた。

その時、倒れていた一人の海兵が息を吹き返した。

「く・・・」
「よう・・、息があるようだな・・・」

クロがその男のアゴを踏みつける。

「いいツラしてやがる」

踏みつけられた海兵は、苦しい息の下でこう言い放った。

「命乞いはしねェ。殺すなら殺せ」
「・・・砕けたアゴでそれだけ吼えりゃ上等だ。貴様にこの”百計のクロ”の首くれてやる」

クロはにやりと笑う。
その横ではジャンゴがチャクラムを取り出し、ある男に向けてゆっくりと揺らし始めた。

「お前の名は『キャプテン・クロ』。この惨劇はお前の仕業・・・」

「ワン・・ツー・・・」

「ジャンゴ!!」

「─── おれの名はキャプテン・クロ。この惨劇はおれの仕業。おれはC・クロ・・・」

催眠をかけられた男、クロに雰囲気が似ているからと選ばれた手下の一人は、こうしてニセ物のクロとして仕立て上げられてしまった。
そしてもう1人、海兵にも催眠をかける。

「─── そしてお前は、このC・クロを捕まえた男だ!基地へ戻ってこの男を処刑しろ」

「ワンツー、ジャンゴ!!」

催眠をかけられた海兵、斧手のモーガンはこの功が海軍支部の大佐へと出世する足掛かりとなるのである。運命というのはわからない。

「・・・これでいい。あのニセ者が死ぬことで、C・クロは世の中から消えてなくなる・・・! ───」







「─── そして後は、今日この計画を成功させることで、おれの目的は完全に達成される。”金”と”平穏”が手に入るのだ」

クロが坂の下のルフィを見下ろす。

「わかるか、小僧・・・。この3年をかけた計画に、失敗は許されねェんだ」

「おれの計画は絶対に狂わないっ!!!」

猫の手を広げ、クロがルフィに襲い掛かる。

ガキィッ!!!

「ふんぎぎぎぎ・・・!」

ルフィは傍に転がっていた大きな岩を持ち上げ、その攻撃を防ぐ。
クロの右手のツメはその岩に突き刺さった。

「ただ伸びるってだけでもなさそうだな」
「そうさ、鍛えてあるからな!海賊になる為に!!・・・うりゃ!」

ルフィはにっと笑うと、岩を左に大きく振り回す。

ボキン!!

「な!」

海賊たちが叫ぶ。

「うわっ!”猫の手”を折りやがった!!」

「疲れただと?」

そしてそのまま岩をクロに向け振り下ろす。

「海で名を揚げることが怖くて、海賊がやれるか!!!」

ルフィはクロを見つめて、はっきりと言い切った。

「野望(けいかく)のでかさならおれの方が上だ!!!」

第36話 追え!!

カヤを連れたウソップ海賊団の3人は、林の中を駆け回る。
先導するピーマンが、振り返って確認する。

「後ろ!来てるか!?あの催眠術師!」
「ううん、見えない!このままマいてやろう!」

振り返って言うたまねぎに、にんじんも力強く同意した。

「この林の中でおれ達を捕まえられるもんか!」

たまねぎがカヤを勇気付けるように笑いかける。

「安心して、カヤさん!僕たちが必ず守ってあげるから!」
「そうさ!ウソップ海賊団の名にかけて!」

ピーマンも言う。

「・・・ええ・・・、ありがとう・・・」

カヤは弱々しく笑いながら答えた。
さっきから無茶を続けているせいで、だいぶ息苦しい。
でも、この子達に迷惑をかけられない・・・。

その時だった。

スパパパパパパ!

どこからか飛んできたチャクラムが、辺りの木々を切り倒していく。

「え!!?」
「な!!!」
「何だっ!!?」

「・・・いねェな」

彼らの後方では、チャクラムをくるくる回すジャンゴの姿があった。

たとえ子供であっても、この林の中を知り尽くしている者に敵うわけがない。
なら、邪魔な木がなくなればいい。
彼は手当たり次第に木を切り倒していくことにしたのだ。

ジャンゴが叫ぶ。

「何処だ、チビどもォ~~~~~っ!!!このおれから逃げられると思うなよ!!!」

その声に、ウソップ海賊団たちは震え上がった。

「あいつだ!」
「何だ・・・、ただの催眠術師じゃなかったのか!?」

「何ならこの林・・・、丸坊主にしちまってもいいんだぜェ!?」

ジャンゴは不敵に笑った。







「何だ、今の音は・・・!」

林に響く大きな音に、ウソップは驚きを隠せなかった。

─── まさか・・・、あいつら・・・!

クロがしれっと答える。

「さァな、ジャンゴの奴が暴れてるんだろう。自分の目で確かめに行くといい。すでに手遅れかも知れんが・・・」

ゾロがクロを睨む。

「急いだ方がよさそうだな」
「急げるもんならな」

「・・・・・!てめェは!!」

ウソップが叫んだ。

「3年も同じ屋敷に居て、情のかけらもねェのかよ!」

「無い」

クロは冷たく言い放った。

「言った筈だ。カヤはおれの計画を成すためのコマにすぎない。死んで初めて感謝の一つもしよう・・・」

それを聞いたゾロが呆れる。

「救えねェ悪党だ」
「救うつもりはないけどな!」

ルフィも鼻息を荒げて言う。

「お前なんかの好きにさせてたまるか!」

ウソップは起き上がった。

─── 早く行かねぇと、あいつら殺されちまう!一秒でも早く・・・!

坂を駆け抜けようとするウソップに、クロは意外そうに言った。

「まだ動けたか、立派なもんだ。・・・ブチ!」
「シャアーッ!」

クロの命令を受けたブチがウソップに襲い掛かる。
しかし、背後からゾロがそれを刀で押し留めた。

「邪魔するな。こっちは急ぎなんだ」

そのまま、力技で地面に引き倒す。

「てめェはもう充分暴れたろ・・・。活かしといてやるから、黙って寝てろ!」

もう邪魔者は居ない。ウソップは林へ駆け込む・・・ハズだった。
彼の体力はもう限界だったのだろう。
ウソップは腰から砕けるように前のめりに倒れこんだ。

ルフィが叫ぶ。

「ウソップ!」

「ぢ・・・ぢぎしょう!体が・・・うごがねぇよ・・・!」

それを見たクロはバカにしたように笑い出した。

「くっはっはっはっはっは!笑わせてくれるっ!まァまァ、そこで倒れてた方が安全だろうよ。貴様がジャンゴに追いついたところで、所詮敵わねぇ相手だ」

しかし、ウソップははっきりと言った。

「・・・敵わなくたって・・・守るんだ・・・!あいつらはおれが守る!!!」

「あ?」

その言葉にクロは呆れる。
しかし、ゾロとルフィには彼の気持ちはきちんと届いているようだ。

その時、ブチがまた息を吹き返した。

「シャアアーッ!」
「うっ!」

一瞬の隙を突かれ、ゾロは岸壁まで飛ばされてしまった。

ウソップは叫ぶ。

「おれはウソップ海賊団のキャプテンで・・・おれは勇敢なる海の戦士だ!村の者には指一本触れさせねェ!」

それを見た坂の下の海賊たちは、ウソップをバカにするように嘲笑う。

「へへへへっ、見ろよあいつ、変なカッコで何か叫んでるぜ!」
「泣いてやんの」
「ぎゃははははははは!」

と、そこへ岩の塊が飛んできた。

「うおああア~っ!!!」

ルフィだった。

「もっかいウソップを笑ったら、殺す」

彼は海賊たちを睨みつける。
その迫力に、海賊たちはべそをかきながら口を閉ざした。

坂の真ん中では、再びブチがゾロに襲い掛かる。

「シャアアーッ!!!」

ゾロはその攻撃を押し留めながら言った。

「おいブチネコ、てめェにはよ・・・。もう二度も”邪魔するな”と忠告してあるんだぜ・・・!?」

「どけェ!!!」

ザシュッ!!!

ゾロの刀がブチの腹を十字に斬り裂く。
今度こそ、ブチは地面に転がったまま動かなくなった。

海賊たちはその様子に目を疑う。

「・・・・・あ・・・!」
「催眠状態のブチさんなのに・・・!!?」

ゾロは刀を鞘におさめながら言った。

「ルフィ!おれはウソップ担いで催眠野郎を追う!問題あるか?」
「ない!急げ!!」

ルフィはクロから眼を離さずに言う。
ゾロはウソップを肩に担ぎ上げると、林に向かって走り出した。

「わ・・・わりいな」
「本当はおれ一人の方が早ェんだがな。なんせ林の中だ、お前の案内がなきゃ追いつき様がねェ・・・」

傍を通り抜けようとするゾロたちに、クロが静かに言った。

「おい貴様ら、誰がこの坂道を抜けることを許可したんだ?」

「おれだよ!!!」

ルフィがクロに向かってパンチを放つ。

「行け!ゾロ、ウソップ!!」

そのスキに、2人は坂を駆け抜けていく。

「もう一発っ!」

パンチをくりだすルフィ。しかしそれをクロは軽くかわす。

「消えたっ!」

いる筈のクロがそこにいない。
ふと背後に気配を感じた。

「うわっ!」

間一髪、背後からのクロの攻撃を前方に飛び込んで避ける。
そしてそのまま両脚の裏を合わせると、クロに向けて蹴りを放った。

「ゴムゴムの・・・」

槍ッ!!!

しかし、それもクロは目に見えない動きでかわす。

「くそー・・・、また消えた。・・・ま、いいやあいつら坂道抜けたから」

ルフィは笑う。
その様子に、坂の下の海賊たちは開いた口がふさがらなかった。

「あ・・・、あんにゃろC(キャプテン)・クロとはりあってやがる・・・!」

クロが言った。

「戦う前に一つだけ聞いておこうか・・・。他所者のお前が、なぜこの村のことに首を突っ込む!」

ルフィは当然かのように、にっと笑って言った。

「死なせたくない男がこの村にいるからだ!!!」
「簡単だな、それでいいのか?お前の死ぬ理由は・・・」

クロも不敵に笑う。

「それでいい!おれは死なねェけどな!!」

猫の手を広げて構えるクロに、ルフィはこぶしを構えた。







さてその頃、林に入って行ったウソップとゾロは。

「おい東だ、東っ!!東って言ってるだろ!!!」

ウソップが焦る。
何度東と言っても、そのとおり進んでくれない。

「わかるかよ!右とか左で言ってくれ!」
「じゃあ、まわれ右っ!!」

「逆なのか!?」

・・・辿り着けるのだろうか。







「どこへ逃げたァ・・・」

カヤとウソップ海賊団を追いかけるジャンゴは、今だ木を切り倒しながら進んでいた。
迫るジャンゴに怯えながら、カヤたちは必死で逃げる。

「ハッ・・・ハァ・・・、う・・・」

しかし、とうとうカヤが倒れこんでしまった。

「カヤさんっ!」

3人がカヤに駆け寄る。
その3人に、カヤは必死に訴えた。

「・・・ハァ・・・ごめんなさい、あなた達先に逃げて・・・」
「何言ってるんだよ!おれ達の任務はカヤさんを守ることなんだよ!?」

しかし、彼らは気づいた。

「わっ!大変だ、すごい熱だよ!!」
「ええっ!しっかりして、カヤさん!!」
「医者だ、医者だ!!」
「ばか、それ所じゃないよ。命狙われてるんだぞ!」
「でもこれ以上走るのは危険だっ!」

ピーマンが意を決して言った。

「こうなったら・・・、覚悟を決めろウソップ海賊団っ!」

たまねぎとにんじんも決心する。

「よし!!」
「あいつとたたか・・・」

その時だった。

「─── ここにいたのか」

木々の間から、ジャンゴが姿を現した。