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第3話 ”海賊狩りのゾロ”登場

仲間集めの真っ最中のルフィと女海賊アルビダの支配を逃れたコビーは、海兵たちのいる町、シェルズタウンに向けてのんびりと海賊達から奪った小船を進めていた。

「魔獣ねーっ」

船の舳先に腰掛け、水平線を見つめながらルフィが言った。
今日も穏やかな快晴。潮風が心地いい。

「そうですよルフィさん」

コビーがズレためがねを治しながら言う。

「ロロノア・ゾロは”海賊狩りのゾロ”という異名を持つ、恐ろしい奴です。血に飢えた野犬のように賞金首をかぎまわり海をさすらう男だと、人の姿を借りた”魔獣”だと、人は言います」
「ふーん」

ルフィが気のないそぶりで言った。

「だから仲間にしようだなんて、バカな考えは捨てた方が・・・」
「でも、別におれは仲間にって決めた訳じゃなくて、もしいい奴だったら・・・」
「悪い奴だから捕まってるんですよ!!」

コビーは必死で止める。

─── この人ホントに、大丈夫かな・・・。

そうこうしている内に、水平線のかなたに目指す島が見えてきていた。







数時間後、2人はシェルズタウンの港に到着した。

「着いた!!海軍基地の町っ!!」

目の前に広がる町に向かい、ルフィが叫ぶ。

「はい!!ついに!!」

コビーも感慨深げだ。

「・・・お前すごいな、コビー」
「え?」
「ちゃんと目的地に着いたよ!」

ルフィが尊敬のまなざしでコビーを見る。

「あたりまえですよ!海に出る者の最低限の能力です!」

コビーが焦って言った。

「ルフィさんだって、毎度漂流してちゃ海賊になんてなれませんよ。せめて航海士を仲間にするとか・・・」
「ああ、そうする!!メシ食おう」

ルフィはずんずん町に向かって歩いて行った。

─── ホントにホントに大丈夫かなあ・・・。

奔放なルフィに、改めてコビーは不安を隠せなかった。





2人は町のメシ屋”FOOD FOO”で念願の食事にありついていた。

「─── じゃ、この町でコビーとはお別れだな!海軍に入って立派な海兵になれよ!」

腹いっぱいのルフィは、丸いおなかを叩きながら言った。

「はい・・・!!ありがとうございます。ルフィさんも立派な海賊になって下さい。・・・いずれは敵同士ですけど」

コビーがべそをかく。
アルビダの支配から救ってくれたルフィと、わかってはいても離れるのは辛かった。

「・・・そういや、基地にいるのかな。あの・・・ゾロって奴」

ガタン!!

ルフィがそういった瞬間、周りにいた客達がいすから転げ落ちた。
そして怯えるようにルフィたちの方を見つめる。

「・・・ここではゾロの名は禁句のようですね・・・」

コビーがルフィにささやいた。でもルフィはあんまり気にしていないようだ。

「・・・さっき張り紙を見たんですけど、ここの基地にはモーガン大佐という人がいて・・・」

ガタガタァン!!

「え!!?」

コビーのその言葉にも、周りの客達はいすから転げ落ちていた。







「─── はっはっはっは、おもしろい店だったなーっ、おれ後でもっかい行こうっ」

店を出たルフィは、今の客達の様子を思い出して腹を抱えて笑っていた。
その横で、コビーは不安そうだった。

「妙ですよ・・・!!ぼく、なんだか不安になってきました・・・。いつ脱走するとは限らないロロノア・ゾロの名に過敏になる気持はわかりますが、なぜ海軍の大佐の名にまで怯えるんでしょうか」
「さあなー、なんかノリで吹っ飛んじゃったんじゃねェか?」

軽く言うルフィに、

「そんなわけないじゃないですか!!・・・ぼくはまじめに言ってるんですよ」

コビーがあきれる。

やがて2人は海軍基地の前にたどり着いた。

「近くで見るとゴッツイなー」
ルフィが感嘆の声を上げる。

それもそのはず、海軍基地の中は大きな建物が連なり、周りをぐるっと頑丈なレンガの塀が取り囲んでいる。
建物のてっぺんにはかもめの紋章が描かれた旗がはためき、鋼鉄の門の扉にも同じようにかもめの紋章が描かれ、”海軍”と書かれていた。
そのものものしさに、コビーは気圧されているようだった。

「行けよ!コビー」

送り出すルフィに、コビーは、

「で・・・、でも、まだその・・・、心の準備が・・・!!さっきの一件もありますし・・・」

かなり怖気づいていた。
そんなコビーを尻目に、ルフィはぴょんっと塀に飛びついた。
そして上から顔を覗かせ、

「魔獣はどこかなァ」

好奇心いっぱいの顔で、辺りを見回した。

「覗いて見えるような所にはいませんよ。きっと奥の独房とか・・・」
「いや!なんかいるぞ向こうに!!ゾロって奴かも」

ルフィはもっと近くに行こうと、塀から降りて駆け出した。
コビーも慌てて後についていく。

「─── ほらあいつ」

そばに見える位置でもう一度塀の上から顔を覗かせ、ルフィが言う。
ルフィの視線の先には、地面から突き出た太いくいにくくりつけられた若い男がいた。
黒い手ぬぐいを頭に巻き、腹まきをしている。手ぬぐいのすそから見える髪の毛は、鮮やかな緑色。そして左の耳には3連のピアス。
ひどくなぐられたのだろう、血だらけではあったが、見るものを震え上がらせる鋭い視線は死んではいなかった。
コビーも恐る恐る顔を覗かせ、その人物の顔を見たとたん腰を抜かして塀から転げ落ちた。

「どうした?」
「く・・・く・・・黒い手ぬぐいに腹まき!!!ほ・・・本物だ、本物のロロノア・ゾロです!!!・・・なんて迫力だろう・・・!!!あれが、ゾロ・・・!!!」

コビーの言葉に、ルフィがつぶやいた。

「あれがそうか・・・。あの縄ほどけば、簡単に逃がせるよな。あれじゃあ」
「バ・・・バカなこと言わないでくださいよ!!!あんな奴逃がしたら町だって無事じゃ済まないし、ルフィさんだって殺そうとしますよ、あいつは!!!」

思わずコビーが叫ぶ。

「おい、お前」

そんな2人に気づいた、”海賊狩りのゾロ”がにやりと笑って言った。

「ちょっとこっち来て、この縄ほどいてくれねェか。もう九日間もこのままだ、さすがにくたばりそうだぜ」
「しゃ・・・!しゃべった・・・!!!」
「おい、あいつ笑ってるぞ」

怯えるコビーの横で、ルフィが感心したように言った。

「礼ならするぜ。その辺の賞金首ぶっ殺しててめェにくれてやる。嘘は言わねェ、約束は守る」
「ダ・・・ダメですよ、ルフィさん、あんな口車に乗っちゃ・・・!!縄を解いたとたんにぼくらを殺して逃げるに決まってるんですからっ!!」

コビーは震えながら訴えたが・・・、

「殺されやしねェよ」

ルフィは笑った。

「おれは強いからね」

「あァ!?」
ゾロがにらむ。

─── こ・・・、この人はもお~~~~~!!

コビーは早々にこの場から立ち去りたかった。

その時、2人の横に突然はしごが立てかけられ、小さな女の子が上ってきた。
そして2人にしーっと、だまらせると、塀を乗り越えこそこそとゾロに近づいて行く。

「あ・・・、ちょっときみ、危ないよ!!」

コビーの叫びにもお構いなしだ。

「ルフィさん止めてくださいよっ!!あの子、殺されちゃいますよ!!」
「自分でやれよ、そうしたいなら」

慌てるコビーに、ルフィもお構いなし。

「・・・おい、なんだてめェ」

女の子に気づいたゾロが凄む。

「殺されてぇのか・・・、消えなチビ!!」
「あのね、私おにぎり作ってきたの!お兄ちゃんずっとこのままでおなか空いてるでしょ?」

ゾロのことを恐がるでもなく、女の子はにっこり笑って言った。

「私初めてだけど、一生懸命作ったから・・・」
「ハラなんかへっちゃいねェ!!そいつ持ってとっとと消えろ!!」
「だけど・・・」
「いらねェっつったろ!!帰れ!!踏み殺すぞガキ!!」

その時だった。

「ロロノア・ゾロォ!!!」

取り囲んでいる塀の扉が開き、海兵たちを従えた男がずかずかと入ってきた。

「イジメはいかんねェ、親父に言うぞ」

ヘルメットのようなおかっぱ頭にケツアゴ、高級なスーツを身にまとい、宝石をちらつかせながら入ってきたこの男、名をヘルメッポ、海軍大佐の息子である。

「また変なのが出たな」

ルフィがつまらなさそうに言う横で、

「あれはきっと海軍の偉い人ですよ・・・、よかったあの子殺されなくて・・・」

コビーがほっとして言った。

「・・・チッ、七光りのバカ息子が・・・」

ゾロがヘルメッポを睨む。

「バカ?こら調子にのるなよ。おれの親父はかのモーガン大佐だぞ!!」

ヘルメッポが嫌味な声で見下したように言った。そして隣の女の子の手にしたおにぎりを見つけると、

「・・・おやおやお嬢ちゃん、おいしそうなおにぎり持って差し入れかい?」
「あ!だめっ!!」

おにぎりを奪い取って一口。しかし。

「ぷへェっ、まずうっ!!く・・・クソ甘ェ!!砂糖が入ってんぞ、こりゃ。塩だろうが、ふつうおにぎりには塩っ」

おにぎりを地面に思いっきり吐き出した。

「だ・・・、だって甘いほうがおいしいと思って・・・!!」
「こんなもん食えるか、ボケっ!!」

そう叫んで、女の子の手に残っていたおにぎりも地面に落とし、ヘルメッポは力いっぱい何度も踏みつける。

「ああっ!!やめてよ!!やめて!!食べられなくなっちゃう!!」

女の子がおにぎりをかばおうとするが、ヘルメッポは踏み続ける。

「ひ・・・ひどい、あの子がせっかく作ったのに・・・!」

あまりのことに、コビーは思わず言った。
ルフィは黙って様子を見ている。

「大丈夫!!アリなら何とか食ってくれるさ。ひえっひえっひえっ」

意地悪そうに笑いながら、ヘルメッポはさらに地面にめり込ませる。

「ああ・・・」

女の子は、もうおにぎりとはいえない、ただの土の塊をただ見つめるだけだった。

「・・・ひどいよ!!!私・・・、一生懸命作ったのに・・・!!!」

涙があとからあとからあふれてくる。
その女の子の様子を見てヘルメッポは、

「あ~あ~、泣くな泣くな!!だからガキは嫌いだぜ」

そして傍の看板を指差すと、

「悪いのはお前なんだぞ?ここになんて書いてあるか読めねェのか。『罪人に肩を入れし者同罪とみなす 海軍大佐モーガン』」
「・・・・・!!」
「おれの親父の恐さくらいは知ってるよな。てめェが大人なら死罪ってとこだ!!」

ヘルメッポは後ろにいた海兵に向かって言った。

「おい、このガキ投げ捨てろ!!」
「・・・は?」

海兵も耳を疑う。
ヘルメッポはそんな海兵の胸倉を掴み、

「塀の外へ投げ飛ばせっつったんだよ!!おれの命令が聞けねェのか!!!親父に言うぞ!!!」
「は・・・はい、只今っ!!」

ヘルメッポの命令に逆らえない海兵は、女の子を思いっきり塀の向こうへ投げ飛ばした。

「いやああ!!」

ドサッ・・・!

飛んできた女の子はルフィががっちりキャッチ。事なきを得た。

「きみ・・・、大丈夫?なんてひどい奴なんだ・・・」

コビーが慌てて女の子の元に駆け寄る。
ルフィは黙ったまま、短パンに付いた土を落とす。しかしその顔は何か言いたげだった。

「─── しかし、しぶとく生きてやがるなてめェは!」

女の子がいなくなった塀の中では、ヘルメッポが呆れたようにゾロに言った。

「ああ・・・、ちゃんと一ヶ月生き延びてやるさ。約束は守れよ・・・!!」

ゾロが睨んだまま言った。

「ひえっひえっひえっ!あー守る!!一ヶ月そのままで生きられたら約束どおり逃がしてやるよ!!・・・せいぜいやってみろ!!」

高笑いを残し、ヘルメッポは海兵たちを引き連れその場を離れて行った。





ふと気づくと、ルフィがゾロの目の前に立っていた。

「・・・なんだ、てめェまだいたのか。ボーッとしてると親父に言いつけられるぜ」
「まァね」

ルフィは笑って言った。

「おれは今一緒に海賊になる仲間を探してるんだ」
「海賊だと?ハン・・・!自分から悪党に成り下がろうってのか。ご苦労なこって・・・」

ゾロが毒づく。

「おれの意志だ!海賊になりたくて何が悪い!!」

ルフィが真顔で言う。
誰にもけなされたくない、彼自身の夢だ。

「・・・で?まさか縄をほどいてやるから、力を貸せだの言い出すんじゃねェだろうな」
「別にまだ誘うつもりはねェよ。お前悪い奴だって評判だからな」
「悪い奴ね・・・。言っとくがそんな条件ならこっちから願い下げだ。おれにはやりてぇ事があるんだ!!お前に逃がしてもらわなくても、おれは自力で生きのびる!!一ヶ月ここに生きたままつったってりゃ助けてやると、あのバカ息子が約束してくれた」

ゾロは輝きを失わない鋭いまなざしで言った。

「なにがなんでも生きのびて、おれはおれのやりたいことを成し遂げる!!!」

そんなゾロに、ルフィが感心して言った。

「・・・・・ふーん、そうか。でもおれなら一週間で餓死する自信あるけどね」

ゾロがにやっと笑う。

「おれとお前じゃ気力が違うんだ。もの好きな仲間探しは他をあたるんだな」
「・・・・・」

その場を離れようとするルフィに、ゾロは思い出したように言った。

「・・・おい、ちょっと待て!」
「ん?」
「それ・・・とってくれねェか?」

ゾロの視線の先には、つい今しがたヘルメッポに踏みつけられたおにぎりの残骸があった。

「・・・食うのかよ、これ。もう、おにぎりじゃなくてドロの塊だぞ?」

ルフィは残骸をつまんで言った。

「いくら腹減ってても、こりゃあ・・・」
「ガタガタぬかすな。黙って食わせろ。落ちてんの全部だ!!」

そう言って口を大きく開ける。
ルフィが口へ放り込むと・・・、

バリバリッ!!ガリッ!!ゴリッ!!

およそ食べ物を食べてるとは思えない音を立てて、ゾロは全て食べきった。
だが、さすがに喘ぐゾロを見てルフィは、

「・・・だから言ったろ、死にてェのか?」
「ゴブッ・・・、あ、あのガキに伝えてくれねェか・・・!」
「・・・?何を?」

あぶら汗を流しながらゾロは言った。

「『うまかった、ごちそうさまでした』・・・ってよ」

ルフィは思わず笑顔になった。







ルフィ達は海軍基地を離れ、女の子を家まで送ることにした。
ゾロの行動の一部始終を女の子に伝えると、顔を輝かせて喜ぶ。

「ほんと!?」
「ああ!一つ残らずバリバリ食ってたよ」
「うれしいっ!」

それを聞いていたコビーが、少し前から感じていた疑問を口にした。

「あの人・・・、本当に噂通りの悪人なんでしょうか・・・」
「違うよ」

女の子が即座に否定する。

「だって、あのお兄ちゃんは何も悪いことしてないもの。町の人達は恐がってたけど・・・。捕まったのだって私を助ける為にモーガン大佐の息子が飼ってた狼を斬っちゃったからなの!それまでは野放しで狼が街を歩き回ってて、みんなすごく困ってて・・・!!」
「じゃあ、ゾロが捕まった理由ってのは・・・、アイツの飼い狼を斬ったってだけのことなのか」

なーんだ、とルフィが言う。

「うん」
「そうか・・・!!」

コビーも思い直したように言った。

「それもそうですよね、彼の気性の恐ろしさはさておき、賞金首を狙う事が罪になるわけありませんからね」

「悪いのはモーガン親子よ!!」

女の子が怒って言った。

「少しでも逆らえばすぐ死刑で、みんなびくびくしてるの」

その時、先ほどの嫌味な声が道の向こうから聞こえてきた。

「ひえっひえっひえっひえっ!!頭が高ェっつってんだろ、親父に言うぞ!!!」

見ると、道の両側に町の人達がひざを付き頭を下げている。店や家の中にいる人達も慌てて道に出て来てそれに倣っている。
そしてその真ん中を、さっきと同じように海兵を従えてヘルメッポが闊歩していた。

「ロロノア・ゾロみてェに磔になりてェか!?三日後にはゾロの奴を公開処刑にする!!みせしめだ、楽しみに待ってろ!!」
「三日後?」

ルフィは聞き逃さなかった。

「一ヶ月の約束はどうしたんだ!!」

ずかずかとヘルメッポの前に出る。

「なにィ?誰だ貴様、どこで聞いた。頭が高ェな」

そう言うと、ヘルメッポは思わず吹き出した。

「そんな約束ギャグに決まってんだろっ!!それを本気にする奴もまた、魔獣的にバカだけどな。ひえっひえっ~~~」

ドガッ!!!!

ルフィの堪忍袋の緒が切れた。
ヘルメッポの胸倉を掴むや否や、グーで思いっきり殴ったのだ。

「ルフィさんっ!!やめてください、落ちついて!!!」

コビーが慌ててルフィを抑えた。

「こいつ、クズだ」
「海軍を敵に回す気ですか!!!!」

ヘルメッポが殴られ、辺りは騒然としている。
そんな中、ルフィは言った。

「決めたぞコビー!!・・・おれはゾロを仲間に引き込む!!!」








 管理人ひとことこめんと
ゾロ初登場。
ゾロはもう、文句なくかっこいいです。
何でしょうね、あのかっこ良さ。反則です。ぞくぞくします。
・・・風邪?(爆)
私の中では3本の指に入る、らぶキャラ❤
あ、ちなみにルフィはごまめです。
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