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第36話 追え!!

カヤを連れたウソップ海賊団の3人は、林の中を駆け回る。
先導するピーマンが、振り返って確認する。

「後ろ!来てるか!?あの催眠術師!」
「ううん、見えない!このままマいてやろう!」

振り返って言うたまねぎに、にんじんも力強く同意した。

「この林の中でおれ達を捕まえられるもんか!」

たまねぎがカヤを勇気付けるように笑いかける。

「安心して、カヤさん!僕たちが必ず守ってあげるから!」
「そうさ!ウソップ海賊団の名にかけて!」

ピーマンも言う。

「・・・ええ・・・、ありがとう・・・」

カヤは弱々しく笑いながら答えた。
さっきから無茶を続けているせいで、だいぶ息苦しい。
でも、この子達に迷惑をかけられない・・・。

その時だった。

スパパパパパパ!

どこからか飛んできたチャクラムが、辺りの木々を切り倒していく。

「え!!?」
「な!!!」
「何だっ!!?」

「・・・いねェな」

彼らの後方では、チャクラムをくるくる回すジャンゴの姿があった。

たとえ子供であっても、この林の中を知り尽くしている者に敵うわけがない。
なら、邪魔な木がなくなればいい。
彼は手当たり次第に木を切り倒していくことにしたのだ。

ジャンゴが叫ぶ。

「何処だ、チビどもォ~~~~~っ!!!このおれから逃げられると思うなよ!!!」

その声に、ウソップ海賊団たちは震え上がった。

「あいつだ!」
「何だ・・・、ただの催眠術師じゃなかったのか!?」

「何ならこの林・・・、丸坊主にしちまってもいいんだぜェ!?」

ジャンゴは不敵に笑った。







「何だ、今の音は・・・!」

林に響く大きな音に、ウソップは驚きを隠せなかった。

─── まさか・・・、あいつら・・・!

クロがしれっと答える。

「さァな、ジャンゴの奴が暴れてるんだろう。自分の目で確かめに行くといい。すでに手遅れかも知れんが・・・」

ゾロがクロを睨む。

「急いだ方がよさそうだな」
「急げるもんならな」

「・・・・・!てめェは!!」

ウソップが叫んだ。

「3年も同じ屋敷に居て、情のかけらもねェのかよ!」

「無い」

クロは冷たく言い放った。

「言った筈だ。カヤはおれの計画を成すためのコマにすぎない。死んで初めて感謝の一つもしよう・・・」

それを聞いたゾロが呆れる。

「救えねェ悪党だ」
「救うつもりはないけどな!」

ルフィも鼻息を荒げて言う。

「お前なんかの好きにさせてたまるか!」

ウソップは起き上がった。

─── 早く行かねぇと、あいつら殺されちまう!一秒でも早く・・・!

坂を駆け抜けようとするウソップに、クロは意外そうに言った。

「まだ動けたか、立派なもんだ。・・・ブチ!」
「シャアーッ!」

クロの命令を受けたブチがウソップに襲い掛かる。
しかし、背後からゾロがそれを刀で押し留めた。

「邪魔するな。こっちは急ぎなんだ」

そのまま、力技で地面に引き倒す。

「てめェはもう充分暴れたろ・・・。活かしといてやるから、黙って寝てろ!」

もう邪魔者は居ない。ウソップは林へ駆け込む・・・ハズだった。
彼の体力はもう限界だったのだろう。
ウソップは腰から砕けるように前のめりに倒れこんだ。

ルフィが叫ぶ。

「ウソップ!」

「ぢ・・・ぢぎしょう!体が・・・うごがねぇよ・・・!」

それを見たクロはバカにしたように笑い出した。

「くっはっはっはっはっは!笑わせてくれるっ!まァまァ、そこで倒れてた方が安全だろうよ。貴様がジャンゴに追いついたところで、所詮敵わねぇ相手だ」

しかし、ウソップははっきりと言った。

「・・・敵わなくたって・・・守るんだ・・・!あいつらはおれが守る!!!」

「あ?」

その言葉にクロは呆れる。
しかし、ゾロとルフィには彼の気持ちはきちんと届いているようだ。

その時、ブチがまた息を吹き返した。

「シャアアーッ!」
「うっ!」

一瞬の隙を突かれ、ゾロは岸壁まで飛ばされてしまった。

ウソップは叫ぶ。

「おれはウソップ海賊団のキャプテンで・・・おれは勇敢なる海の戦士だ!村の者には指一本触れさせねェ!」

それを見た坂の下の海賊たちは、ウソップをバカにするように嘲笑う。

「へへへへっ、見ろよあいつ、変なカッコで何か叫んでるぜ!」
「泣いてやんの」
「ぎゃははははははは!」

と、そこへ岩の塊が飛んできた。

「うおああア~っ!!!」

ルフィだった。

「もっかいウソップを笑ったら、殺す」

彼は海賊たちを睨みつける。
その迫力に、海賊たちはべそをかきながら口を閉ざした。

坂の真ん中では、再びブチがゾロに襲い掛かる。

「シャアアーッ!!!」

ゾロはその攻撃を押し留めながら言った。

「おいブチネコ、てめェにはよ・・・。もう二度も”邪魔するな”と忠告してあるんだぜ・・・!?」

「どけェ!!!」

ザシュッ!!!

ゾロの刀がブチの腹を十字に斬り裂く。
今度こそ、ブチは地面に転がったまま動かなくなった。

海賊たちはその様子に目を疑う。

「・・・・・あ・・・!」
「催眠状態のブチさんなのに・・・!!?」

ゾロは刀を鞘におさめながら言った。

「ルフィ!おれはウソップ担いで催眠野郎を追う!問題あるか?」
「ない!急げ!!」

ルフィはクロから眼を離さずに言う。
ゾロはウソップを肩に担ぎ上げると、林に向かって走り出した。

「わ・・・わりいな」
「本当はおれ一人の方が早ェんだがな。なんせ林の中だ、お前の案内がなきゃ追いつき様がねェ・・・」

傍を通り抜けようとするゾロたちに、クロが静かに言った。

「おい貴様ら、誰がこの坂道を抜けることを許可したんだ?」

「おれだよ!!!」

ルフィがクロに向かってパンチを放つ。

「行け!ゾロ、ウソップ!!」

そのスキに、2人は坂を駆け抜けていく。

「もう一発っ!」

パンチをくりだすルフィ。しかしそれをクロは軽くかわす。

「消えたっ!」

いる筈のクロがそこにいない。
ふと背後に気配を感じた。

「うわっ!」

間一髪、背後からのクロの攻撃を前方に飛び込んで避ける。
そしてそのまま両脚の裏を合わせると、クロに向けて蹴りを放った。

「ゴムゴムの・・・」

槍ッ!!!

しかし、それもクロは目に見えない動きでかわす。

「くそー・・・、また消えた。・・・ま、いいやあいつら坂道抜けたから」

ルフィは笑う。
その様子に、坂の下の海賊たちは開いた口がふさがらなかった。

「あ・・・、あんにゃろC(キャプテン)・クロとはりあってやがる・・・!」

クロが言った。

「戦う前に一つだけ聞いておこうか・・・。他所者のお前が、なぜこの村のことに首を突っ込む!」

ルフィは当然かのように、にっと笑って言った。

「死なせたくない男がこの村にいるからだ!!!」
「簡単だな、それでいいのか?お前の死ぬ理由は・・・」

クロも不敵に笑う。

「それでいい!おれは死なねェけどな!!」

猫の手を広げて構えるクロに、ルフィはこぶしを構えた。







さてその頃、林に入って行ったウソップとゾロは。

「おい東だ、東っ!!東って言ってるだろ!!!」

ウソップが焦る。
何度東と言っても、そのとおり進んでくれない。

「わかるかよ!右とか左で言ってくれ!」
「じゃあ、まわれ右っ!!」

「逆なのか!?」

・・・辿り着けるのだろうか。







「どこへ逃げたァ・・・」

カヤとウソップ海賊団を追いかけるジャンゴは、今だ木を切り倒しながら進んでいた。
迫るジャンゴに怯えながら、カヤたちは必死で逃げる。

「ハッ・・・ハァ・・・、う・・・」

しかし、とうとうカヤが倒れこんでしまった。

「カヤさんっ!」

3人がカヤに駆け寄る。
その3人に、カヤは必死に訴えた。

「・・・ハァ・・・ごめんなさい、あなた達先に逃げて・・・」
「何言ってるんだよ!おれ達の任務はカヤさんを守ることなんだよ!?」

しかし、彼らは気づいた。

「わっ!大変だ、すごい熱だよ!!」
「ええっ!しっかりして、カヤさん!!」
「医者だ、医者だ!!」
「ばか、それ所じゃないよ。命狙われてるんだぞ!」
「でもこれ以上走るのは危険だっ!」

ピーマンが意を決して言った。

「こうなったら・・・、覚悟を決めろウソップ海賊団っ!」

たまねぎとにんじんも決心する。

「よし!!」
「あいつとたたか・・・」

その時だった。

「─── ここにいたのか」

木々の間から、ジャンゴが姿を現した。
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