第10話 酒場の一件
「盗まれた"偉大なる航路(グランドライン)”の海図が戻った!!そして新しい船員も加わった!!おれ達の航海は実に快調だ!!!」
バギー海賊団が占拠している酒場、”ドリンカーパブ”の屋上では、海図が戻ったことで宴が開かれていた。
海賊はすぐ宴を開く。ちょっとでもいい事があればすぐだ。
宴を開くことで、みんなで喜び、騒ぎ、結束を高める。
バギー海賊団も例外ではなかった。
「さァ、存分に飲め!!ハデに騒いで次の戦いに活気をつけろ!!!」
「うおおおおお───っ!!!」
バギーの言葉に、手下共が騒ぎ始める。
次々と飲み干される酒、よっぱらってテーブルの上で騒ぐ者、歌いだす者・・・。
その中に、新しく仲間に加わったナミもいた。
「ナミ!!飲んでるか、この野郎ォ!!」
「うっす!!いただいてます、バギー船長っ!!」
ナミが酒の入ったジョッキを掲げる。
荒くれ達の中で、そこだけ少し異質だった。
「おい新顔っ!!飲み競べだァ」
そんな彼女に、手下の一人が勝負を挑む。
「よしきた!」
受けて立つ、ナミ。
勝負がつくのに、時間はかからなかった。
「勝ちっ」
ナミは飲み干したジョッキを逆さに掲げる。
挑んだ手下は、床にひっくり返っていた。
─── ふふっ、私のお酒の強さは尋常じゃないのよ!
─── このペースでみんな飲み続けてくれたら、予想外に簡単にお宝を頂けそう!
─── まったく、海賊ってのは単純でやりやすいわ。
ナミは海賊たちを眺めてほくそ笑んでいた。
そんな中、ただ一人宴に参加していない者がいた。ルフィだ。
小さな鉄の檻に閉じ込められた彼は、脱出しようと必死で鉄柵をかじっていた。
「あー、楽しそうだなー。やっぱこうだよなー、海賊って!!」
・・・参加したいが為か。
「ん?」
気がつくと、ルフィの目の前にナミが座り込んでいた。
「どう?調子は、親分!」
ナミが笑って言う。
「うるせェ!こっから出せ!!はらも減ってる、なんか食わせろ!」
そんなルフィに、ナミは肉一切れを宴のテーブルから失敬してきて食べさせてやった。
「うまいっ。お前いい奴だなー、やっぱ仲間にしてやろうか」
もぐもぐしながらルフィが言う。
現金なもんである。
「いらないわよっ!!」
ナミが怒鳴る。
「あんた今の自分の立場わかってんの?このまま、きっとどっかへ売り飛ばされちゃうのよ」
まあ、そんなことになったのは彼女のせいなのだが。
「でも、ま、私の仕事が万事うまくいったら、この檻の鍵くらい開けて逃がしてあげるわ。私、あんたに全く恨みないし」
「じゃ、今開けろ」
「ぶわっはっはっはっはっはっはっはっ!!!」
ナミの背後で大きな笑い声。
バギーだった。
「大変な子分を持っちまったなァ!!コソ泥親分っ!!」
「何言ってんだ、そいつは子分なんかじゃねェ!」
ルフィがむくれて言う。
「あーあー、そう言いてェ気分だろうよ。なんせ裏切られちまったんだもんなァ」
バギーは気の毒そうなフリをする。
「返しては貰ったものの、このおれの宝に手をつけた罪は重い!!てめェの処分は決まってる」
そう言ってバギーは檻の中のルフィに顔を近づけた。
「逃がしてくれんのか?」
「そうだ、お前を逃がして・・・、逃がすかっ!!!」
危うくルフィのペースにのせられそうになる。
バギーは騒いでいる手下どもに向かって命令を出した。
「野郎共!!!”特製バギー玉”準~~~備っ!!!」
「うおおおおお」
ういやっほーう!っと手下達は勇んで大砲を用意する。
「バギー玉セット、完了しました!!」
手下が手にした砲弾には、バギーの海賊旗のマークであるピエロのドクロマークが描かれている。
「よし見せろ、その威力っ!!!」
手下は大砲の標準を傍の建物に合わせる。
そして・・・。
「!!!」
ドゴゴゴゴゴォン!
大砲から放たれた玉は、通りに建てられた建物を根こそぎ破壊する。
通りは瓦礫の山と化した。
ナミはその衝撃に声が出ない。
「まさにド派手っ!!!下手な町なら一発で消し飛ばす代物だ!!!こいつとおれの悪魔の実の能力でおれは"偉大なる航路”をも制してやるっ!!」
バギーの言葉に、手下たちも気勢を上げる。
「さァ撃て、ナミ!!」
バギーが叫ぶ。
「お前の元親分をこのバギー玉で消し飛ばし、おれ様への忠誠と、ともに世界を制す大いなる野望をここに誓うのだ!!元親分を派手に殺してみせろ!!!」
そして大砲の照準がルフィに合わせられる。
「あいつを殺す・・・!?私が・・・!?」
ナミは焦った。
「い・・・、いえ!!バギー船長。私は結構です・・・!!」
そしてなだめるように話を逸らす。
「それより・・・、そうだっ!お酒っ!酒を飲みましょう、あんなのほっといて!」
「やれ」
しかしバギーには通じなかった。
「え・・・」
「やれやれーっ、景気よくブッ放せェ!!」
「撃ーてっ。撃ーてっ」
周りの手下どもは、ナミの気も知らず囃し立てる。
撃て、のコールが響く中、ナミは動けずにいた。
─── ・・・まいった・・・、こんなことになるなんて・・。
─── これを撃たなきゃ、私はきっと殺されるわ・・・!!
─── でも、いくらこいつが海賊だからって・・・、むやみに人を殺せば、私も海賊と同類じゃない!!!
ルフィは黙ったままナミを見つめている。
業を煮やしてバギーは怒鳴った。
「ナミ!!!しらけさせんじゃねェ、早く点火しろ!!!」
その声にビクつくナミ。
─── やらなきゃ・・・、でも・・・。
葛藤しながら恐る恐る大砲に近づく。
「─── 手がふるえてるぞ」
ルフィが口を開いた。
「中途半端な覚悟で海賊を相手にしようとするから、そうなるんだ」
ルフィはにっと笑っていた。
およそ、大砲で狙われてる者の様子ではない。
「・・・!覚悟って何よ。人を簡単に殺してみせる事がそうなの?それが海賊の覚悟・・・?」
ナミはあぶら汗をかきながら言った。
「違う」
ルフィは言った。
「自分の命をかける覚悟だ!!」
ルフィの言葉に、震えが止まる。
未だ続く、撃て、の声の嵐の中、一人の手下がナミの手からマッチを奪い取った。
「おい新顔、じらすなよ。点火の仕方知らねェのか?火をこの導火線にボッと・・・」
手下が火をつける。
ナミは足に仕込んであった組み立て式の棒を手に取ると、その手下を思いっきり打ち負かした。
「な!!!?」
海賊たちの顔色が変わる。
「はっ・・・」
─── しまった・・・!つい・・・。
その様子を見てバギーが怒る。
「ナミ、てめェどういうつもりだァ!!!せっかくこのおれが部下に迎え入れてやろうってのに、あァ!!!」
ルフィも少し驚いて言った。
「何だお前、今さらおれを助けてくれたのか?」
「バカ言わないで!!」
ナミが海賊たちを警戒しながら言う。
「勢いでやっちゃったのよ!!・・・たとえマネ事でも、私は非道な海賊と同類にはなりたくなかったから!!私の大切な人の命を奪った、大嫌いな海賊と同類には・・・!!!」
「・・・あー、それで嫌いなのか、海賊が・・・」
その時、ルフィは気づいた。
「あ───っ、導火線に火がついてる───っ!!!」
殴り倒された手下は、しっかり役目は果たしていたのだ。
「やべ───!!!死ぬ───っ!!!」
ルフィはさっきよりも必死に鉄柵にかじりついた。
導火線は確実に短くなっていく。
「人をおちょくるのもたいがいにしろ小娘!!ハデに殺せ!!!」
「ハデに死ねェ!!!」
手下共がナミに襲い掛かる。
「まだ火が・・・」
襲い掛かってくる海賊たち。短くなる導火線。
「くそォっ、消し飛ぶっ!!!」
檻の中で必死にあがくルフィ。
ナミは突っ込んでくる海賊たちに向かって、棒を思いっきり振り回した。
だが。
「当たりませーん!!!」
海賊たちは嘲るようにナミの攻撃をかわす。
「死んでたまるかァっ!!!」
あともう少しで玉が発射する!
その時だった。
ナミは持っていた武器を放り出し、導火線を素手で握った。
「あつ・・・!!!」
「・・・!?お前・・・」
ナミの意外な行動に、驚くルフィ。
しかし、海賊たちはもうナミの真後ろに迫っていた。
「後ろっ!!!」
バキッ!!
「─── 女一人に何人がかりだ」
二本の刀で、突っ込んできた海賊たちを全て止める。
「ゾロォ!!!!」
ゾロがようやくルフィの元にたどり着いたのだ。
「ケガは?」
「ええ、平気・・・」
ゾロはナミを気遣うと、ルフィの方を見やる。
「やー、よかった。よくここがわかったなァ!!早くここから出してくれ」
のんきに言うルフィに、ゾロは呆れて言った。
「お前なァ・・・。何遊んでんだ、ルフィ。鳥に連れてかれて、見つけてみりゃ今度は檻の中か。アホ!」
「・・・ゾロ?」
ルフィの言葉に、海賊たちはざわめいていた。
「おい、あいつ・・・ゾ、ゾロって言わなかったか?」
「”海賊狩りのゾロ”か!?何で泥棒と喋ってんだ・・・!?」
ナミも驚いていた。
「あいつの言ってた仲間って・・・、"海賊狩りのゾロ”のこと・・・!?どうなってんの?」
バギーがゆっくりとゾロに近づく。
「・・・貴様、ロロノア・ゾロに間違いねェな。おれの首でも取りに来たか?」
「いや・・・、興味ねェな。おれはやめたんだ、海賊狩りは」
「おれは興味あるねェ」
バギーがナイフをくるくると回す。
「てめェを殺せば、名が上がる」
「やめとけ、死ぬぜ」
バギーの登場に、手下共が叫んだ。
「うおおお、やっちまえェ船長!!ゾロを斬りキザめぇ!!!」
「本気で来ねェと、血ィ見るぞ!!!」
ナイフを手に、バギーがゾロに襲い掛かる。
「・・・!そっちがその気なら・・・!!!」
両手、そして口に咥えた三刀流の刃が閃く。
ズバッ!!
一瞬のうちに、バギーは斬り刻まれ、バラバラになっていた。
「うわっ、よえーなあいつっ!」
あまりの手ごたえのなさに、ルフィが驚く。
「うそ・・・」
ナミも目の前の出来事が信じられないようだ。
「へへ・・・」
だが、彼の手下たちだけは不敵な笑みを浮かべていた。
バギー海賊団が占拠している酒場、”ドリンカーパブ”の屋上では、海図が戻ったことで宴が開かれていた。
海賊はすぐ宴を開く。ちょっとでもいい事があればすぐだ。
宴を開くことで、みんなで喜び、騒ぎ、結束を高める。
バギー海賊団も例外ではなかった。
「さァ、存分に飲め!!ハデに騒いで次の戦いに活気をつけろ!!!」
「うおおおおお───っ!!!」
バギーの言葉に、手下共が騒ぎ始める。
次々と飲み干される酒、よっぱらってテーブルの上で騒ぐ者、歌いだす者・・・。
その中に、新しく仲間に加わったナミもいた。
「ナミ!!飲んでるか、この野郎ォ!!」
「うっす!!いただいてます、バギー船長っ!!」
ナミが酒の入ったジョッキを掲げる。
荒くれ達の中で、そこだけ少し異質だった。
「おい新顔っ!!飲み競べだァ」
そんな彼女に、手下の一人が勝負を挑む。
「よしきた!」
受けて立つ、ナミ。
勝負がつくのに、時間はかからなかった。
「勝ちっ」
ナミは飲み干したジョッキを逆さに掲げる。
挑んだ手下は、床にひっくり返っていた。
─── ふふっ、私のお酒の強さは尋常じゃないのよ!
─── このペースでみんな飲み続けてくれたら、予想外に簡単にお宝を頂けそう!
─── まったく、海賊ってのは単純でやりやすいわ。
ナミは海賊たちを眺めてほくそ笑んでいた。
そんな中、ただ一人宴に参加していない者がいた。ルフィだ。
小さな鉄の檻に閉じ込められた彼は、脱出しようと必死で鉄柵をかじっていた。
「あー、楽しそうだなー。やっぱこうだよなー、海賊って!!」
・・・参加したいが為か。
「ん?」
気がつくと、ルフィの目の前にナミが座り込んでいた。
「どう?調子は、親分!」
ナミが笑って言う。
「うるせェ!こっから出せ!!はらも減ってる、なんか食わせろ!」
そんなルフィに、ナミは肉一切れを宴のテーブルから失敬してきて食べさせてやった。
「うまいっ。お前いい奴だなー、やっぱ仲間にしてやろうか」
もぐもぐしながらルフィが言う。
現金なもんである。
「いらないわよっ!!」
ナミが怒鳴る。
「あんた今の自分の立場わかってんの?このまま、きっとどっかへ売り飛ばされちゃうのよ」
まあ、そんなことになったのは彼女のせいなのだが。
「でも、ま、私の仕事が万事うまくいったら、この檻の鍵くらい開けて逃がしてあげるわ。私、あんたに全く恨みないし」
「じゃ、今開けろ」
「ぶわっはっはっはっはっはっはっはっ!!!」
ナミの背後で大きな笑い声。
バギーだった。
「大変な子分を持っちまったなァ!!コソ泥親分っ!!」
「何言ってんだ、そいつは子分なんかじゃねェ!」
ルフィがむくれて言う。
「あーあー、そう言いてェ気分だろうよ。なんせ裏切られちまったんだもんなァ」
バギーは気の毒そうなフリをする。
「返しては貰ったものの、このおれの宝に手をつけた罪は重い!!てめェの処分は決まってる」
そう言ってバギーは檻の中のルフィに顔を近づけた。
「逃がしてくれんのか?」
「そうだ、お前を逃がして・・・、逃がすかっ!!!」
危うくルフィのペースにのせられそうになる。
バギーは騒いでいる手下どもに向かって命令を出した。
「野郎共!!!”特製バギー玉”準~~~備っ!!!」
「うおおおおお」
ういやっほーう!っと手下達は勇んで大砲を用意する。
「バギー玉セット、完了しました!!」
手下が手にした砲弾には、バギーの海賊旗のマークであるピエロのドクロマークが描かれている。
「よし見せろ、その威力っ!!!」
手下は大砲の標準を傍の建物に合わせる。
そして・・・。
「!!!」
ドゴゴゴゴゴォン!
大砲から放たれた玉は、通りに建てられた建物を根こそぎ破壊する。
通りは瓦礫の山と化した。
ナミはその衝撃に声が出ない。
「まさにド派手っ!!!下手な町なら一発で消し飛ばす代物だ!!!こいつとおれの悪魔の実の能力でおれは"偉大なる航路”をも制してやるっ!!」
バギーの言葉に、手下たちも気勢を上げる。
「さァ撃て、ナミ!!」
バギーが叫ぶ。
「お前の元親分をこのバギー玉で消し飛ばし、おれ様への忠誠と、ともに世界を制す大いなる野望をここに誓うのだ!!元親分を派手に殺してみせろ!!!」
そして大砲の照準がルフィに合わせられる。
「あいつを殺す・・・!?私が・・・!?」
ナミは焦った。
「い・・・、いえ!!バギー船長。私は結構です・・・!!」
そしてなだめるように話を逸らす。
「それより・・・、そうだっ!お酒っ!酒を飲みましょう、あんなのほっといて!」
「やれ」
しかしバギーには通じなかった。
「え・・・」
「やれやれーっ、景気よくブッ放せェ!!」
「撃ーてっ。撃ーてっ」
周りの手下どもは、ナミの気も知らず囃し立てる。
撃て、のコールが響く中、ナミは動けずにいた。
─── ・・・まいった・・・、こんなことになるなんて・・。
─── これを撃たなきゃ、私はきっと殺されるわ・・・!!
─── でも、いくらこいつが海賊だからって・・・、むやみに人を殺せば、私も海賊と同類じゃない!!!
ルフィは黙ったままナミを見つめている。
業を煮やしてバギーは怒鳴った。
「ナミ!!!しらけさせんじゃねェ、早く点火しろ!!!」
その声にビクつくナミ。
─── やらなきゃ・・・、でも・・・。
葛藤しながら恐る恐る大砲に近づく。
「─── 手がふるえてるぞ」
ルフィが口を開いた。
「中途半端な覚悟で海賊を相手にしようとするから、そうなるんだ」
ルフィはにっと笑っていた。
およそ、大砲で狙われてる者の様子ではない。
「・・・!覚悟って何よ。人を簡単に殺してみせる事がそうなの?それが海賊の覚悟・・・?」
ナミはあぶら汗をかきながら言った。
「違う」
ルフィは言った。
「自分の命をかける覚悟だ!!」
ルフィの言葉に、震えが止まる。
未だ続く、撃て、の声の嵐の中、一人の手下がナミの手からマッチを奪い取った。
「おい新顔、じらすなよ。点火の仕方知らねェのか?火をこの導火線にボッと・・・」
手下が火をつける。
ナミは足に仕込んであった組み立て式の棒を手に取ると、その手下を思いっきり打ち負かした。
「な!!!?」
海賊たちの顔色が変わる。
「はっ・・・」
─── しまった・・・!つい・・・。
その様子を見てバギーが怒る。
「ナミ、てめェどういうつもりだァ!!!せっかくこのおれが部下に迎え入れてやろうってのに、あァ!!!」
ルフィも少し驚いて言った。
「何だお前、今さらおれを助けてくれたのか?」
「バカ言わないで!!」
ナミが海賊たちを警戒しながら言う。
「勢いでやっちゃったのよ!!・・・たとえマネ事でも、私は非道な海賊と同類にはなりたくなかったから!!私の大切な人の命を奪った、大嫌いな海賊と同類には・・・!!!」
「・・・あー、それで嫌いなのか、海賊が・・・」
その時、ルフィは気づいた。
「あ───っ、導火線に火がついてる───っ!!!」
殴り倒された手下は、しっかり役目は果たしていたのだ。
「やべ───!!!死ぬ───っ!!!」
ルフィはさっきよりも必死に鉄柵にかじりついた。
導火線は確実に短くなっていく。
「人をおちょくるのもたいがいにしろ小娘!!ハデに殺せ!!!」
「ハデに死ねェ!!!」
手下共がナミに襲い掛かる。
「まだ火が・・・」
襲い掛かってくる海賊たち。短くなる導火線。
「くそォっ、消し飛ぶっ!!!」
檻の中で必死にあがくルフィ。
ナミは突っ込んでくる海賊たちに向かって、棒を思いっきり振り回した。
だが。
「当たりませーん!!!」
海賊たちは嘲るようにナミの攻撃をかわす。
「死んでたまるかァっ!!!」
あともう少しで玉が発射する!
その時だった。
ナミは持っていた武器を放り出し、導火線を素手で握った。
「あつ・・・!!!」
「・・・!?お前・・・」
ナミの意外な行動に、驚くルフィ。
しかし、海賊たちはもうナミの真後ろに迫っていた。
「後ろっ!!!」
バキッ!!
「─── 女一人に何人がかりだ」
二本の刀で、突っ込んできた海賊たちを全て止める。
「ゾロォ!!!!」
ゾロがようやくルフィの元にたどり着いたのだ。
「ケガは?」
「ええ、平気・・・」
ゾロはナミを気遣うと、ルフィの方を見やる。
「やー、よかった。よくここがわかったなァ!!早くここから出してくれ」
のんきに言うルフィに、ゾロは呆れて言った。
「お前なァ・・・。何遊んでんだ、ルフィ。鳥に連れてかれて、見つけてみりゃ今度は檻の中か。アホ!」
「・・・ゾロ?」
ルフィの言葉に、海賊たちはざわめいていた。
「おい、あいつ・・・ゾ、ゾロって言わなかったか?」
「”海賊狩りのゾロ”か!?何で泥棒と喋ってんだ・・・!?」
ナミも驚いていた。
「あいつの言ってた仲間って・・・、"海賊狩りのゾロ”のこと・・・!?どうなってんの?」
バギーがゆっくりとゾロに近づく。
「・・・貴様、ロロノア・ゾロに間違いねェな。おれの首でも取りに来たか?」
「いや・・・、興味ねェな。おれはやめたんだ、海賊狩りは」
「おれは興味あるねェ」
バギーがナイフをくるくると回す。
「てめェを殺せば、名が上がる」
「やめとけ、死ぬぜ」
バギーの登場に、手下共が叫んだ。
「うおおお、やっちまえェ船長!!ゾロを斬りキザめぇ!!!」
「本気で来ねェと、血ィ見るぞ!!!」
ナイフを手に、バギーがゾロに襲い掛かる。
「・・・!そっちがその気なら・・・!!!」
両手、そして口に咥えた三刀流の刃が閃く。
ズバッ!!
一瞬のうちに、バギーは斬り刻まれ、バラバラになっていた。
「うわっ、よえーなあいつっ!」
あまりの手ごたえのなさに、ルフィが驚く。
「うそ・・・」
ナミも目の前の出来事が信じられないようだ。
「へへ・・・」
だが、彼の手下たちだけは不敵な笑みを浮かべていた。
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