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第15話 GONG

酒場の前では、屋上にいるバギーたちとブードルが対峙していた。

「貴様何者だ。おれを呼んだか?」

非難していた町民など、彼の眼中にない。
バギー玉の発射を邪魔されたことだけが、気に食わなかった。

「わしはこの町の長、さながらの町長!ブードルじゃ!!わしと勝負しろ!!!」

その言葉に、手下の海賊共が騒ぎ出す。

「ぶわーっはっはっはっはっはっはっはっは!!船長と勝負だと!?」
「勝てるとでも思ってんのか!!?」

そんな中、一人の男がバギーの前に進み出た。
あごまでのストレートの黒髪を左に垂らし、右側は横じまに剃りを入れている。
素肌の上に黒のベストを着、格子柄のスカーフを巻いていた。

「バギー船長」
「何だ、カバジ」
「ああいう輩は、私にお任せを・・・」

カバジと呼ばれた男はそう言うと、口の中に手を突っ込んだ。
そして、中からするすると剣を取り出す。

「おおおっ!!カバジさんの曲芸ショーか!!」

海賊達が期待を込める。
カバジはジャンプすると、くるくると回転しながら屋上の手すりに降り立つ。
彼は一輪車にまたがったまま手すりの上に着地していた。そして剣の先で器用にこまを回す。
彼こそが、バギー一味NO.2参謀長”曲芸のカバジ”であった。

「うお───っ!!やっちまえ、カバジさん!!!」

大声援の中、バギーが静かに言った。

「バカ野郎、ご指名はおれだぜ。さがってろ!!」

その言葉に、カバジは不満そうに押し黙る。

「あ~~~、せっかくカバジさんの曲芸ショーが見れると思ったのによ」

海賊達も不満そうだ。
それには気に留めず、バギーは地上のブードルに向かって言い放った。

「おい貴様、何の為におれに挑む。名でも上げてェか」
「バカ言え!!我が町を、わしの”宝”を守るためじゃ!!!」
「は?」

バギーは耳を疑った。
そして笑い出す。

「バカかてめェは!”宝”ってのはな、金銀財宝のことを言うんだ。持ち主の威厳を示す輝きをもってこそ、宝なのだ!町が宝だと!!?ザレ事をぬかすな!!!」
「ほざけ小童っ!!!」

ブードルが怒鳴り返す。

「貴様なんぞに、わしの町への想いをわかって貰おうなど、ハナから思っておらんわ!!!さっさとここへ下りて来い!!!」
「下りて来い?」

バギーが凄む。

「やなこった!!」

そう叫ぶと、右手をブードルの喉元めがけ発射した。
喉を絞められたブードルは、ゆっくりと宙に浮いていく。

「ひゃーっはっはっはっは!!」
「やれやれェ船長ォ!!!」

手下共がはやし立てる。

「バ・・・、バケモノめ・・・!!!」

絞められたブードルは、力を振り絞りバギーの右手を殴りつける。

「なにか、これしきっ!!!」

しかし、右手を殴りつけるということは、同時に自分の喉へも攻撃するということ。
それでもブードルは、殴り続けた。

「痛ェな、畜生ォ!!バカか、自分の喉ごと殴るとは・・・!」
そう言って、バギーは絞める力をさらに強める。

「・・・っが!!!」
「下りて来いだと!?てめェは誰に口聞いてんだ、オヤジ!おれが誰だか言ってみろ!!」

─── せめて、奴に一矢でも報いねば、わしは死んでも死に切れん!!

ブードルは必死に耐える。
バギーが叫ぶ。

「おれは後に、”偉大なる航路(グランドライン)”を制し!全世界のハデに輝く財宝を、全て手中に収める男だ!!世界の宝はおれのもの!この世におれ以外”宝”を持つ者など必要ない!!!」

そして、大砲の傍へやってきた。

「そんなにこの町が大切だと言うんなら、一緒に消し飛べてさぞ本望だろう」

そして標準をブードルにあわせる。

「何じゃと貴様・・・!わしと戦え!!!」
「おいおい・・・、自惚れンな・・・。ブッ放せ!!!」

ブードルはもう一度叫んだ。

「この町は潰させん!!!わしと戦えェ!!!!」





その時、バギーは自分の右手に違和感を覚えた。

「麦わらの男っ・・・!」

ルフィが、ブードルの喉元からバギーの右手を引っぺがしたのだ。

「ぷはっ・・、げほっげほっ・・・」

ブードルはその場に崩おれた。
ルフィがにやっと笑って言った。

「約束通り、お前をブッ飛ばしに来たぞ!」

右手を戻しながら、バギーが叫ぶ。

「よくもノコノコと自分から・・・、貴様等現れたな!!!!」

ルフィの後に、ゾロとナミもいる。

「─── いーい?戦うのはあんた達の勝手だけどね、私は海図と宝が手に入ればそれでいいの」
「ああ、わかってる」

ナミの言葉に、ゾロが笑いながら答える。
もうすでに、気持は戦闘体制に入っているようだ。
しかし、ようやく息が整ったブードルは、立ち上がりながら言った。

「小童共・・・、何しに来たんじゃ。他所者は引っ込んでおれ。これはわしの戦いじゃぞ!!」

そして槍を掴み、再度バギーに向かう。

「わしの町はわしが守る!!手出しは無用じゃ!!!」

ガンッ!!

なんと、その瞬間ルフィはブードルを傍の壁に叩き付けたのだ。
誰もがその光景に目を疑った。
かわいそうにブードルは、そのまま気を失い倒れてしまった。

「あ・・、あんた!なんて事すんのよ!!何で、町長さんを・・・!!!」

ナミが怒鳴る。
しかしルフィは笑って言った。

「邪魔!!!」

「─── 上策だな・・・。このおっさん、ほっといたら間違いなく死にに行く気だ。気絶してた方が安全だろう」
ゾロも同意する。

「それにしても・・・、無茶するなっ!!」
ナミは怒りの納めどころがなかった。





ルフィは、ここからが本番だ、とばかりにバギーへ向かって大声で言い放った。

デカッ鼻ァ!!!!

言ってはいけない一言を。

「ええ~~~っ!??」
「・・・・・!??」

ナミもゾロも慌てる。

「ハデに撃て!バギー玉ァ!!!!」
「消し飛べェ!!!!」

ドウン!!

ルフィに向かって、とうとうバギー玉が発射された。
通りの家々を一瞬で破壊する威力を持つ、砲弾だ。

「何言い出すのよ、バカァ!!!」
「おいルフィ!逃げるんだ、吹き飛ぶぞ!!!」

ナミが逃げ、ゾロも焦る。
しかし、当のルフィだけは余裕気に笑っていた。

「そんな砲弾が、おれに効くかっ」

そう言うと、ルフィは思いっきり息を吸い込む。

「ゴムゴムの・・・」
風船っ!!!!

どすっ!!

大きく大きくふくらむお腹。
そこにバギー玉が命中した。
しかし炸裂しない。
ぐぐ───っと威力を吸収する。

「何だあいつは!!?」
「まさかバギー玉を・・・!」

びよおん!!

「弾き返しやがったァ!!!!」

ドカァン!!

ルフィがお腹で弾き返した砲弾は、寸分違わず酒場の屋上へ命中した。

「・・・先に言えよな。人騒がせな」
ゾロが息をつく。

当のルフィはにっと笑って言った。

「よっしゃ、敵が減った!やるか!!!」

「あんた一体、何なのよっ!!」
ナミは一人腰を抜かしていた。
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