第17話 格
元酒場(今、瓦礫)の前の広場では、ゾロがカバジをまっすぐ見据えていた。
手にした刀からは血が滴り落ちる。
カバジの血ではない。
それは、自身で傷つけたわき腹からの血であった。
「ああ・・・、見てるだけで倒れそう・・・」
ナミが目を覆う。
「いけっ、ゾロ!!」
その横で、期待に目を輝かせるルフィ。
ゾロはカバジを見据えたまま言った。
「おれはこの先、剣士と名乗る野郎にはたった一度でも負けるわけにはいかねェんだ!!」
「成程・・・、強い志の成せる業か・・・」
カバジが剣を構える。
「だがまァ、安心しろ。それだけの重傷で相手がこのおれとあっちゃあ、敗けの言い訳には十分だ」
「─── 逆だ!!」
ゾロはにやりと笑った。
「これくらいの傷でてめェごときに敗けたとあっちゃ、おれのこの先が思いやられるよ」
「・・・てめェ!!!」
カバジが睨んだ。
「聞いて!」
ゾロたちの様子を見ていたナミが、不意にルフィの肩を叩いた。
「吹き飛んだ酒場の裏に小屋があるの。あいつらの”お宝”はそこにあるわ」
ナミは瓦礫のほうを指差す。
「そして”偉大なる航路(グランドライン)”の海図は、多分バギーが持ってる。私は海賊達がのびてる今の内に裏にまわって、小屋の宝をいただいて逃げる!あんた達がこの戦いに勝とうが負けようが、私には関係ないからね。・・・ただしバギーからうまく海図を奪えたら、その時はあらためて手を組みましょう!」
ナミがにっと笑った。
「じゃあね!健闘を祈るわ!」
「おお、ありがとう」
ナミは酒場の裏に向けてかけて行った。
広場ではカバジが猛然とゾロに向かっていた。
「おれの最高の曲技を味わうがいい、ロロノア・ゾロ!!」
一輪車にまたがったカバジはマントの陰から独楽を取り出した。
「曲技っ!!”カミカゼ百コマ劇場”!!!」
そう叫び、ゾロにむけていくつもの独楽を飛ばす。
ゾロがそれをよける隙に、カバジは一輪車を漕ぎ、傍の建物の壁を駆け上っていった。
「曲技!!”山登ろー”」
そして屋根の上で、思いっきりジャンプする。
「曲技!!”納涼打ち上げ花火”!!」
独楽をよけきったゾロが見上げると、カバジははるか空の上に飛び上がっていた。
そして剣の切っ先をゾロに向ける。
「”一輪刺し”!!!」
カバジがゾロめがけて落下してくる。
その様子を見て、バギーが腕をゾロへ向けかまえた。
「地を這うバラバラ砲ーうっ!!」
バギーの手がゾロめがけて発射される。
「カバジッ!!おれが抑える、ゾロを仕留めろ!!!」
「御意」
「てめェら・・・!!!」
ゾロに襲い掛かる、バギーの手。
もう少しで捕まる、その時だった。
ドスン!!
ルフィだった。
ゾロが掴まれる寸前、ルフィがそれを踏みつけたのだ。
「ぎいやあああ」
バギーの叫び声が響き渡る。
「ゾロの野望(たたかい)に手ェ出すな!!!」
ルフィは不適に笑う。
それを受けて、ゾロもにっと笑った。
「─── 船長の手を借りずとも、貴様くらい殺せるわ!!」
バギーは止めても、カバジは止められない。
カバジの剣が突き刺さる寸前、ゾロはかろうじて避けた。
「ちっ」
カバジが舌打ちする。
ゾロは息を荒げて、ゆっくりと体を起こした。
「もういい・・・、疲れた・・・」
「疲れた?」
ゾロの言葉に、カバジが笑う。
「くくくくくくく、さすがに貧血気味か?とうとう勝負を諦めたな!まあ、当然と言えば当然・・・。むしろ、その深手でよく今まで立っていられたと・・・」
ガシャァン!!
カバジが言い終わる前に、ゾロは一輪車を蹴りつけた。
「く・・・・・!!!」
「お前のくだらねぇ曲技に付き合うのが疲れたって言ったんだ!!」
ゾロの野獣の目は死んでいない。
「・・・!ならばこの辺でとどめを刺してやろうか。おれの本物の剣技で!!!」
猛然とゾロに向かうカバジ。
しかしゾロは口に刀を咥え、ゆっくりと3本の刀を構えた。
「鬼・・・斬り!!!!」
一撃必殺のゾロの刃が、カバジを襲う。
「カバジ!!!」
バギーが叫ぶ。
ルフィはにやっと笑った。
「くそ・・・。我々バギー一味が、コソ泥ごときに・・・。ここまで・・・!!」
そう言い残し、カバジはゆっくりと倒れた。
「コソ泥じゃねェ」
ゾロは頭の手ぬぐいに手をやる。
「海賊だ!!!」
さすがのゾロも限界だったのだろう。力尽きて地面に崩れ落ちた。
「ルフィ・・・、おれは寝るぞ」
「おう、寝てろ。あとはおれがやる」
ゾロの言葉を受け、ルフィはバギーへ腕を構えた。
「てめェら・・・、海賊だと!!?」
バギーは耳を疑った。
─── 海図狙いのコソ泥じゃねェのか。
「そうだ!”偉大なる航路”の海図をよこせ!!」
「狙いはそれか・・・。あの場所は名もない海賊がやすやすと通れる甘えた航路じゃねぇぞ。てめェらなんぞが”偉大なる航路”へ入って何をする!観光旅行でもするつもりか!」
「海賊王になる」
しれっと言うルフィに、バギーは呆れるしかなかった。
─── こいつ、自分が言ってることわかってんのか。
「フザけんなっ、ハデアホがァ!!てめェが海賊王だと!?ならばおれァ神か!!?世界の宝を手にするのはこのおれだ!夢見てんじゃねェ!!!」
「いいからかかって来い。やかましいよ、お前」
怒鳴るバギーをものともせず、ルフィは指を鳴らす。
「おいおいおいおいおいっ、口を慎めよ、ごむごむ!」
バギーも両手の指の間にナイフを挟み、凄む。
「てめェのその麦わらを見てると、若かりし頃のあの男を思い出すぜ。くそ生意気な、あの赤髪の男を・・・!!」
「・・・赤髪!?」
今度はルフィが耳を疑う番だった。
手にした刀からは血が滴り落ちる。
カバジの血ではない。
それは、自身で傷つけたわき腹からの血であった。
「ああ・・・、見てるだけで倒れそう・・・」
ナミが目を覆う。
「いけっ、ゾロ!!」
その横で、期待に目を輝かせるルフィ。
ゾロはカバジを見据えたまま言った。
「おれはこの先、剣士と名乗る野郎にはたった一度でも負けるわけにはいかねェんだ!!」
「成程・・・、強い志の成せる業か・・・」
カバジが剣を構える。
「だがまァ、安心しろ。それだけの重傷で相手がこのおれとあっちゃあ、敗けの言い訳には十分だ」
「─── 逆だ!!」
ゾロはにやりと笑った。
「これくらいの傷でてめェごときに敗けたとあっちゃ、おれのこの先が思いやられるよ」
「・・・てめェ!!!」
カバジが睨んだ。
「聞いて!」
ゾロたちの様子を見ていたナミが、不意にルフィの肩を叩いた。
「吹き飛んだ酒場の裏に小屋があるの。あいつらの”お宝”はそこにあるわ」
ナミは瓦礫のほうを指差す。
「そして”偉大なる航路(グランドライン)”の海図は、多分バギーが持ってる。私は海賊達がのびてる今の内に裏にまわって、小屋の宝をいただいて逃げる!あんた達がこの戦いに勝とうが負けようが、私には関係ないからね。・・・ただしバギーからうまく海図を奪えたら、その時はあらためて手を組みましょう!」
ナミがにっと笑った。
「じゃあね!健闘を祈るわ!」
「おお、ありがとう」
ナミは酒場の裏に向けてかけて行った。
広場ではカバジが猛然とゾロに向かっていた。
「おれの最高の曲技を味わうがいい、ロロノア・ゾロ!!」
一輪車にまたがったカバジはマントの陰から独楽を取り出した。
「曲技っ!!”カミカゼ百コマ劇場”!!!」
そう叫び、ゾロにむけていくつもの独楽を飛ばす。
ゾロがそれをよける隙に、カバジは一輪車を漕ぎ、傍の建物の壁を駆け上っていった。
「曲技!!”山登ろー”」
そして屋根の上で、思いっきりジャンプする。
「曲技!!”納涼打ち上げ花火”!!」
独楽をよけきったゾロが見上げると、カバジははるか空の上に飛び上がっていた。
そして剣の切っ先をゾロに向ける。
「”一輪刺し”!!!」
カバジがゾロめがけて落下してくる。
その様子を見て、バギーが腕をゾロへ向けかまえた。
「地を這うバラバラ砲ーうっ!!」
バギーの手がゾロめがけて発射される。
「カバジッ!!おれが抑える、ゾロを仕留めろ!!!」
「御意」
「てめェら・・・!!!」
ゾロに襲い掛かる、バギーの手。
もう少しで捕まる、その時だった。
ドスン!!
ルフィだった。
ゾロが掴まれる寸前、ルフィがそれを踏みつけたのだ。
「ぎいやあああ」
バギーの叫び声が響き渡る。
「ゾロの野望(たたかい)に手ェ出すな!!!」
ルフィは不適に笑う。
それを受けて、ゾロもにっと笑った。
「─── 船長の手を借りずとも、貴様くらい殺せるわ!!」
バギーは止めても、カバジは止められない。
カバジの剣が突き刺さる寸前、ゾロはかろうじて避けた。
「ちっ」
カバジが舌打ちする。
ゾロは息を荒げて、ゆっくりと体を起こした。
「もういい・・・、疲れた・・・」
「疲れた?」
ゾロの言葉に、カバジが笑う。
「くくくくくくく、さすがに貧血気味か?とうとう勝負を諦めたな!まあ、当然と言えば当然・・・。むしろ、その深手でよく今まで立っていられたと・・・」
ガシャァン!!
カバジが言い終わる前に、ゾロは一輪車を蹴りつけた。
「く・・・・・!!!」
「お前のくだらねぇ曲技に付き合うのが疲れたって言ったんだ!!」
ゾロの野獣の目は死んでいない。
「・・・!ならばこの辺でとどめを刺してやろうか。おれの本物の剣技で!!!」
猛然とゾロに向かうカバジ。
しかしゾロは口に刀を咥え、ゆっくりと3本の刀を構えた。
「鬼・・・斬り!!!!」
一撃必殺のゾロの刃が、カバジを襲う。
「カバジ!!!」
バギーが叫ぶ。
ルフィはにやっと笑った。
「くそ・・・。我々バギー一味が、コソ泥ごときに・・・。ここまで・・・!!」
そう言い残し、カバジはゆっくりと倒れた。
「コソ泥じゃねェ」
ゾロは頭の手ぬぐいに手をやる。
「海賊だ!!!」
さすがのゾロも限界だったのだろう。力尽きて地面に崩れ落ちた。
「ルフィ・・・、おれは寝るぞ」
「おう、寝てろ。あとはおれがやる」
ゾロの言葉を受け、ルフィはバギーへ腕を構えた。
「てめェら・・・、海賊だと!!?」
バギーは耳を疑った。
─── 海図狙いのコソ泥じゃねェのか。
「そうだ!”偉大なる航路”の海図をよこせ!!」
「狙いはそれか・・・。あの場所は名もない海賊がやすやすと通れる甘えた航路じゃねぇぞ。てめェらなんぞが”偉大なる航路”へ入って何をする!観光旅行でもするつもりか!」
「海賊王になる」
しれっと言うルフィに、バギーは呆れるしかなかった。
─── こいつ、自分が言ってることわかってんのか。
「フザけんなっ、ハデアホがァ!!てめェが海賊王だと!?ならばおれァ神か!!?世界の宝を手にするのはこのおれだ!夢見てんじゃねェ!!!」
「いいからかかって来い。やかましいよ、お前」
怒鳴るバギーをものともせず、ルフィは指を鳴らす。
「おいおいおいおいおいっ、口を慎めよ、ごむごむ!」
バギーも両手の指の間にナイフを挟み、凄む。
「てめェのその麦わらを見てると、若かりし頃のあの男を思い出すぜ。くそ生意気な、あの赤髪の男を・・・!!」
「・・・赤髪!?」
今度はルフィが耳を疑う番だった。
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