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第18話 海賊”道化のバギー”

元酒場(今瓦礫)前の広場には地面に横たわる4人の男がいた。

ゾロに倒された、カバジ。
戦いの後、熟睡するゾロ。
ルフィに蹴り飛ばされた、モージ。
そして、ルフィに気絶させられた、ブードル・・・。

立っているのは2人。ルフィとバギーだけであった。

「赤髪って・・・!?」

バギーの口から出た『赤髪』という言葉に、ルフィは何よりも反応した。

「シャンクスの事か!?知ってんのか、お前!!」
「・・・んん?何だ・・・興味しんしんだな、おい。知ってるが、どうした・・・」

バギーはルフィの反応にいぶかった。

「今、どこにいる?」
「どこに・・・?さァなァ、知ってるといやあ知ってるが、知らんといやあ全く知らん」

ほくそ笑むバギーに、

「何言ってんだ、お前。ばかか!」
ルフィはばっさり。

「ばかとは無礼だな、コラ!!」

気を取り直して、バギーはあらためて両手に何本も掴んだナイフを振りかざした。

「てめェが知りてェもんをわざわざ教えてやるほど、おれはいい人じゃねェぞ。たとえそれが冥土の土産でもだ!」
「じゃあ、力ずくで聞いてやる!」

ルフィもこぶしを固める。

「がははははは!聞かれる前に殺してやるさ!!」

バギーはそう言うと、足を踏みしめた。
靴の先から刃が出てくる。

「ゴムでも刃物ははね返せまい」

「うん、ムリ」
ルフィは素直。

バギーは腰をひねって力を込める。

「バ~~~ラ~~~バ~~~ラ~~~・・・せんべいっ!!」

バギーの腰から下が切り離され、回転しながらルフィに迫る。
さながら、両側に刃のついたフリスビーのようである。
しかしルフィは間一髪飛び越える。

「空中は身動きがとれんだろう!!」

ルフィが避けるのを読んでいたバギーは、ルフィめがけ、持っていたナイフたちを投げつけた。

「とれるさ」

ルフィは傍の建物の柱に腕を伸ばして掴むと、戻る反動でナイフたちをやり過ごした。

「ほほう!そうきたか、面白ェな!!」
「お前もな!」

今度はルフィの反撃の番である。
腕を構えると、

「ゴムゴムの・・・銃(ピストル)!!!」

バギーをめがけ、グオンッと腕が伸びる。
それをバギーも間一髪で避けた。

「面白ェ能力だが・・・伸び斬った腕はスキだらけだな!!」

バギーはルフィの腕を掴むと、ナイフを振り下ろす。
しかし、ルフィは掴まれた腕の先で、建物の窓枠を掴んでいた。

「斬りキザんで・・・!!」
「ゴムゴムの・・・」

ルフィが逆の腕をラリアートのように構え、バギーめがけて飛んでくる。

「鎌っ!!」

「”バラバラ緊急脱出”っ!!」

ルフィの腕がバギーの首へヒット!!・・・かと思われたが、バギーの首がスポーンと飛び、辛くも直撃を逃れた。
勢いで、ルフィは瓦礫の山に頭から突っ込む。

「がっはっはっはっは、甘いわゴムゴム!」
バギーは笑いながら瓦礫の方を振り返る。

「むんっ!!」
瓦礫の山から、ルフィは立ち上がった。

「くっそ~~~、バラバラバラバラ分解しやがって」

─── その2人の様子を、物陰から見つめる姿があった。
ナミだ。

「・・・な、何て戦いなの・・・!夢でも見てるみたい」

体が伸びたり、分解したり。
おおよそ普通の人間では、どちらもありえない。
瓦礫の山の中でも、気絶していた手下の海賊達が目の前の戦いに度肝を抜かれていた。

「おい・・・、見たか今の・・・」
「バカヤロ、気絶したフリしてろ・・・。あ、あんなのに巻き込まれたらおれ達ァ命はねェぞ」





「バラバラ砲ーうっ!!!」
ナイフを掴んだバギーの腕が、ルフィめがけて飛んでいく。

「ふんっ!!!」

寸でのところで、その腕を掴む。
しかし。

「切り離し!!!」
「うわっ!」

手首から先が切り離され、再度ルフィへ飛ぶ。
何とか避けたが、切っ先がこめかみにかすってしまった。
避けた弾みで瓦礫の山へ再度突っ込む。
すぐに起き上がったが、彼はこめかみから血を流しながら、麦わら帽子を見つめていた。

「この野郎ォ!!!」
ルフィがバギーを睨み上げる。

「なんだ?顔はキズつけちゃマズかったかい」
にやりと笑うバギーに、ルフィは怒鳴った。

「よくもこの帽子に、傷をつけやがったな!!!」
「は?」
「これはおれの宝だ!!!この帽子を傷つける奴は絶対許さねェ!!!」

そのルフィの様子に、ナミは驚いた。
そういえば彼はナミに、

”これは昔、友達から受け取ったおれの大切な宝なんだ”

と言っていた。

─── 何にも動じない奴だと思ってたけど、あいつがこんなに取り乱すなんて・・・!!

「─── そんなに大事な帽子なのか?」
バギーがにやりと笑う。

「そうだ!!」

ルフィの後ろで、ナイフを掴んだバギーの手がゆらりと浮かんだ。
そして、ルフィめがけてナイフを1本投げる。

「わっ!!!」

飛んでくるナイフを必死で避けたが、今度は手の方がルフィに向かってくる。
その手には、まだナイフが握られていた。

「大事ならちゃんと守れ!!!」

ズバッ!!

バギーのナイフは麦わら帽子を貫いていた。

「がははははは、こんなくたびれた帽子の何が宝だ!!!」
ナイフが刺さった麦わら帽子を掲げ、バギーは高笑いする。

ルフィは悔しそうに奥歯をかんだ。
彼の脳裏に、シャンクスの言葉が蘇る。

”この帽子をお前に預ける”
”おれの大切な帽子だ、いつかきっと返しに来い。立派な海賊になってな”

「それはシャンクスとの誓いの帽子だ!!!」

ルフィがバギーに向かって猛然と突っ込んでいく。

「何い?・・・て事ァ、こりゃシャンクスの帽子かよ。道理で見覚えがあるわけだぜ」

バギーは帽子を地面に叩き落した。

「おれとあいつは、昔同じ海賊船にいた。・・・つまり、海賊見習い時代の同志ってわけだ」

そして、帽子につばを吐きかける。
それを見たルフィは、本気で怒った。

「シャンクスは偉大な男だ・・・。お前と同志だと!?」

そして腕を構える。

「また同じ手かよ!バラバラ緊急脱出っ!!!」

首を狙われたと思ったバギーは、またもや頭部を体から切り離す。

「一緒にすんな!!!!」

ズドォ!!!

しかしルフィは、体部分に思いっきり蹴りを入れていた。
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