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第22話 あんたが珍獣

のんびりと次の島へ向かう、船2艘。
天候は穏やか。今日もまた絶好の航海日和である。

「なおった ─── っ!!!」

ルフィは麦わら帽子を片手に、こぶしを空に突き上げた。
バギーに傷をつけられた帽子を、ナミが繕ってくれたのだ。

「応急処置よ、穴を塞いだだけ」
ナミが裁縫セットを片付けながら言う。

「強くつついたりしない限り大丈夫だと思うけど」
「いやーわかんねェわかんねェ、ありがとう」

言われた端から、ルフィは帽子をつつきまくる。

「あんなにボロボロの帽子をここまでなお・・・、あ」

・・・穴開けちゃった。

「人の話をちゃんと聞けェ!!」
「ぎゃあああああ」

ナミがルフィの眉間を針で刺す。

「針で刺すなよ、痛ェだろ!」
「殴っても効かないから、刺すしかないでしょ!?」
「ああ、そりゃそうか!」

ルフィ納得。
これだけ騒ぐ中、ぐーすか寝ていたゾロがようやく目を覚ました。

「・・・お前らうるせェな、眠れねェじゃねェか。おれはハラも減ってんだ・・・」

ゾロが隣の舟のナミに言う。

「おい、何か食糧わけてくれよ」
「・・・だいたいあんた達おかしいわよ。航海する気ホントにあんの!?食糧も水も持ってないなんて!海をナメてるとしか思えないわ。よく今まで生きてられたわね」
「まあ、なんとかな」

ゾロはナミからもらったパンをぱくついた。

「ん!なんか見えるぞ!おい、島だ!!」

ルフィが前方を見つめ、騒ぎ出す。
その声を受けて、ナミは双眼鏡を取り出した。

「─── ああ、あれはダメね。無人島よ、行くだけムダ。進路はこのまま・・・って、待て!!!」

そこに島があるなら上陸する。ルフィ達は島に向けて漕ぎ出していた。

「仲間になってくれる奴いるかなァ」
「食糧でも積めりゃ上出来だな!ナミの言う事は一理あるぜ。おれ達には明日の心配が足りねェらしい」

「─── んもう!!!」
ナミは慌てて、二人の後を追っていった。







「孤島に着いたぞ!!!」

しばらくの後、ルフィたちは島の岸辺に碇を下ろしていた。

「何にもねェ島だなァ!森だけか?」

ルフィの目の前に広がるのは、森、岩山。
およそ、人が住んでるとは思えなかった。

「だから言ったのに無人島だって。仲間探すのに、こんなとこ来てどうすんのよ」
ナミが船を下りながら言う。

「おい、ゾロ。下りて来いよ!」

ルフィが舟を振り返って言った。しかしゾロは下りてこない。
ふと見ると、再びぐーすか眠っていた。

「寝かしといてあげなさいよ。あれでもケガ人なのよ?」

連れ出しそうなルフィを、ナミは引っ張って止めた。

「そりゃそうだな、よし行こう!」

ルフィはくるっと方向を変えて森へ向かう。

「森の奥に民家があるかも」
「何もないってば、猛獣か化物ならいるかもね」

ナミがルフィの後を追う。

「ん?」
「え!?」

その時だった。不思議な動物がルフィの傍を通り過ぎる。
見た目はどう見てもキツネ。しかし、トサカがある。
そして泣き声は、

「コケッコッコー」

である。

「なに、あれ」
ナミはその不思議な動物の後姿から目が離せなかった。

「おい、見ろよ!」

ルフィがさらに不思議な動物を捕まえた。

「変わったウサギだ!」

ルフィが捕まえたそれは、ウサギのような耳のある・・・ヘビ。

「ほ・・・、本当だ、変わってる・・・。だけどそれ、変わったヘビだと思うけど」
「じゃ、あのライオンは?」
「あれは・・・」

ルフィが指差す方にいた動物は、ライオンのようなたてがみのある・・・、

「ブタでしょ!?変わったブタ」

ガルル・・・と唸りながら、そのブタは行ってしまった。

「なんか、この森・・変・・・!」

ナミが頭を抱えた時、どこからか『声』が響いてきた。

”それ以上、踏み込むな!!”

「ん?」
「え!?な、何、今の声。あんた誰よ!!」

ナミは思わず大声を出す。

”え?おれ?おれはこの森の番人さ・・・!”

「森の番人?」
ルフィも尋ねる。

”そうとも。命惜しくば、即刻この場を立ち去れい!”

その『声』は、いかめしく響く。

”お前はあれだろ、海賊”

不意に『声』が尋ねる。

「そうだ」
「何で森の番人がそんなこと聞くの?」

”やはり海賊か・・・”

その『声』は言った。

”いいか、あと一歩でも森へ踏み込んでみろ!その瞬間!貴様は森の裁きを受け、その身を滅ぼすことになるのか?”

「・・・知るか。何でおれに聞くんだ」

ねえ。

「何なの一体・・・」

ナミは得体の知れないそれに、少し怯えているようだ。

「なんかコイツ変だな」

ルフィは辺りを見回す。

”何だと、この!麦わら坊主!!”

『声』が言い返す。

「どこにいるのよ!出て来いっ!」
ナミも強がる。

「どっかその辺に・・・」
ルフィが森へ入っていこうとすると、その『声』は叫んだ。

”オイッ、踏み入るなと言った筈だ!!森の裁きを受けろォ!!!”

ズドォン!

「きゃあ!!!」

ナミが悲鳴を上げる。
どこからともなく、ルフィに向かって発射されたのだ。
しかし、ルフィはゴムである。

「ふんっ!!」

弾の威力を吸収すると、勢いよく跳ね返した。

”・・・!?ええ!!?”

『声』も今の光景が信じられないようだ。
ナミが息を整えながら言った。

「・・・おっどろいたー、今の銃でしょ?その体、銃も効かないのね・・・」
「ああ、でもびっくりするからいやだ!」

ルフィが心底嫌そうな顔をした。

”お・・・お前、何だ!!”

『声』が焦ったように言う。
ルフィは再び辺りを見回した。

「こっちから銃弾飛んできたな」

ナミもその方向を見た。

「見て、ピストルが落ちてる!」

発射直後だろう、まだうっすらけむりを上げるピストルがそこにあった。
そしてその傍に、大きな黒いもしゃもしゃした物が生えた箱が一つ。

「何だこれ」
「めちゃくちゃ怪しいわね・・・」

2人はじっとそれを見つめた。
すると、

「あっ、動いた!!」

それは急に走り出した。
しかし、少しも進まないうちに木に激突する。

「くらっ!早く起こせェ!!!」

それは地面に転がったまま箱から足をばたつかせているが、どうやら起き上がれないようだ。

「に、人間だわ・・・」

そう、それは人だったのだ。
黒いもしゃもしゃしたものは、彼の髪の毛。
箱に詰まったおじさんが、そこに転がっていたのだ。

「起こせってんだ!」
じたばたしながら、彼は叫ぶ。

「こけたのにいばってる・・・」
「おもしれぇ、たわしか?たわし人間」

ナミは引き、ルフィは笑った。







「ゴムゴムの実か・・・。”悪魔の実”だろう。噂に聞いたことはあったが、それを食った奴は初めて見たぜ」

箱に詰まった男、島の住人ガイモンが言った。
ルフィたちは森の中から、海岸沿いに場所を移していた。

「おれも宝箱に詰まった人間初めて見たよ。箱入り息子なのか?」
「ああ・・・小さな頃から大切に育てられて・・・って、あほかお前!」

ガイモンさん、ノリ突っ込み。

「はまっちまったんだよ!抜けねェんだ!!この島にたった一人、延々20年この姿だ!わかるかお前らにこの切なさが!!!」
「え!?に・・・20年もたった一人でこの島にいるの?」

ナミがあまりの年数の長さに驚く。

「ああ・・・、20年だ・・・」

しみじみ言うガイモンに、ルフィが言った。

「ばかみてェ」

「ブッ殺すぞ、てめェ!!!」

気持はわかる。

気を取り直して、ガイモンが話し出した。

「20年てのァ・・・長いもんだ。髪の毛もひげもこの通り伸びっぱなしでボサボサ。まゆ毛までつながっちまった。現にこうやって、まともに人間と会話するのも20年ぶりだ」

そう言って息をつくガイモンを、ルフィはおもむろに引っ張り始めた。

「痛い痛い、何しやがる!!!」
「抜けねェなァ・・・」
「やめろやめろ、首が抜ける!!」

ようやくルフィが離れた。

「無茶すんじゃねェ!長年の運動不足もあって、今じゃこの宝箱はおれの体にミラクルフィットしてやがんだ!抜けやしねェし、壊そうとすりゃおれの体がイカレちまう!」

ぷんすか怒りまくるガイモンに、ナミが尋ねた。

「でもさ・・・、どうしてこの島へ来たの?」
「・・・お前、さっき海賊だと言ってたな」

ガイモンがルフィに言う。

「ああ、まだ3人だけどな」
「おれも昔、海賊だった」
「へェ!」
「あれはいい!宝探しの冒険には命を懸けても惜しくねェ、楽しいんだ。・・・何か宝の地図でも持ってんのか?」
「”偉大なる航路(グランドライン)”の海図なら持ってる」

ルフィはにっこり笑って言った。

「おれは”ワンピース”を目指すんだ!」
「なに・・・っ、ワンピースだと!!?」

ガイモンが驚く。

「まさか本気で”偉大なる航路”へ入るつもりか!?」

ルフィとガイモンは海図を広げた。

「で?どれが”偉大なる航路”だ?」
「さあ・・・、たわしのおっさんは知らねェのか?」
「おれは海図はさっぱりわからん!」
「なんだ、そうか」

「・・・海賊達の会話じゃないわ・・・」
大笑いするルフィとガイモンに、ナミはため息をついた。
そして、2人から海図を奪い取ると説明を始める。

「いーい?レッドラインは知ってるわよね?」
「ああ、海を割る大陸の名だろう」

ガイモンが答えた。

「そう!この世界に海は2つある!そして、その世界の海を真っ二つに両断する巨大な大陸を”赤い土の大陸(レッドライン)”と呼ぶの」

さらにナミは説明する。

「その中心といわれる町から”赤い土の大陸”に対して、直角に世界を一周する航路こそが、”偉大なる航路”!史上にもそれを制したのは、海賊王ゴールド・ロジャーただ1人!もっとも危険な航路だと言われてるわ」
「要するに、そのラインのどっかに必ず”ワンピース”はあるんだから、世界一周旅行って事か」

ルフィが言うと、

「ばか言え!そんなに容易い場所じゃねェ!」
ガイモンがたしなめる。

「少なくとも”海賊の墓場”って異名はホントらしいからな・・・」

少し怯えながら、ガイモンは続けた。

「以前”偉大なる航路”から逃げ帰ったって海賊を見た事があるが、まるで死人みてェに戦意を失っちまって、そりゃ見るに忍びねェ顔してやがったよ。何か相当恐ろしいことでもあったのか、恐ろしい海賊に遭ったのか、化物にでも出くわしたか・・・。誰一人口を開こうとはしねェが・・・、その姿は充分”偉大なる航路”の凄まじさを物語ってた」

ナミがごくりとつばを飲み込む。

「その上”ワンピース”のありかに至っては、もうお手上げだ。噂が噂をよんで、何が真実だかわかりゃしねェ。大海賊時代が幕開けして20余年・・・、すでにその宝は伝説になりつつあるのさ。わかるか?”ワンピース”なんてものは夢のまた夢って事だ」
「そうかなァ」

ルフィがこの男特有の気楽さで言った。

「なんとかなるだろ」
「ムリムリ!せいぜい稼ぐだけ稼いで逃げ出すってのが、一番利口なのよ!」

ナミも言うが、

「見つかるだろ、おれ運もいいんだ!」
ルフィはどこ吹く風で、にっと笑った。

「・・・別にいいけど、どこからそんな自信が沸くわけ?」
ナミは呆れた。





「おれがなぜこの島をずっと離れないかと言うとだな!!!」

その2人のやり取りを見ていたガイモンが、突然叫んだ。

「おお、どうしたおっさん」
「未練だ。あきらめきれねェんだ」
「何を?」

ルフィが尋ねる。
ガイモンが語り始めた。

「おれは20年前のあの時、海賊としてこの島へ上陸していた。この島に”財宝”が眠るとある地図に記されていたからだ ───」





「─── この島はもう探すだけ無駄だな!上陸して3週間、総勢200人で見つかったのはこの壊れたカラの宝箱1コだけだ!」

そう言って、海賊団の船長は空の箱を蹴飛ばした。
地図のとおりにこの島にやってきたが、成果はさんさんたるものであった。

「船へ引き上げろ、野郎共!!」
「おお!!」

宝がない、となると決断も早い。
こんな島に用はない、とばかりに海賊たちはすばやく撤収作業に入っていた。
そんな中、一方を見つめる男がいた。
若き日のガイモンである。
今と比べて髪の毛のボリュームが小さい。つながったまゆ毛は同じだが。
ていうか、昔もまゆ毛つながってたんやん。

「おい、何してるガイモン。先に行くぜ」
「ああ・・・」

しかし、彼はその場を離れなかった。

「・・・そういや、あの大岩の前にこの3週間ずっと船長がいたんだよなァ。誰か探したのか?あそこ・・・」

そしてゆっくりと大岩によじ登っていった。
やっとのことので登りきった大岩の頂上で見たものに、彼は目を疑った。

「こ・・・こんな所に!み、見つけた!!」

そこには宝箱が5つ並んでいたのである。

「おォい、みん・・・!!!」

彼が仲間の方を向いた時だった。
掴んでいた岩の一部が崩れ、彼はまっさかさまに落ちて行った。





「─── その時だ。箱にハマったのは・・・。気絶から立ち直ると、仲間達はもう海の彼方にいた。財宝を独り占めできると思ったけどよ、箱にハマったままじゃ登れねェし、第一抜けねェし・・・」
「・・・それから20年間誰も来なかったのか?」

語り終わったガイモンに、ルフィが尋ねた。

「いや・・・来たさ、幾度となく。財宝狙いの海賊共がな・・・。全て追い払ってやった!”森の裁き”でな」

そしてガイモンは遠い目をしながら言った。

「目について離れねェのさ。あの時確かに大岩の上で見た財宝が!ただこの箱にハマっちまったが為に!おれは20年間財宝を守り続けてきた、あれはおれのだ!!!」
「うん、間違いねェ!そりゃおっさんのだ!!」

ガイモンの心の叫びに、ルフィは深くうなずいた。
ナミも賛同する。

「わかったわ、ガイモンさん!その宝、あなたの代わりに取ってあげるっ!」
「何、本当か!?よかった!お前らに話して本当によかった!」

ルフィが言った。

「・・・お前海賊専門の泥棒だったよな、たしか」
「バカな事言うな!私だって場くらいわきまえるわよっ!!」

ナミは思わず怒鳴った。
日ごろの行いですね。







しばらくして、ルフィ、ナミ、ガイモンの3人は大岩の前にたどり着いていた。

「ここがそうだ。おれも久しぶりだ・・・、ここへ来るのは」

ガイモンが感慨深げに岩を見上げる。

「でも何で、今までにこうやって頼まなかったんだよ、人に」

ルフィが言うと、

「誰も信用できなかった、それだけだ。少なくともおれの姿を見て、おれと話そうなんて奴はいなかった」

ガイモンはずっと悔しかったのだ。
目の前にお宝があるのに、取りにいけなかった自分が。
だから悔しくて、この岩に近づけなかった。
だが。

「ついにこの時が来たか!今日はいい日だ!!」

ようやく、この目で確かめられるのだ。
ナミがルフィの肩を叩いて言った。

「よし、行けっ」
「おれが行くのか」
「私が登れる訳ないでしょ、こんな大岩」

そりゃそうだ。

「頼むぞ、麦わら!!」
「よし・・・」

ガイモンの声援を受け、ルフィは一気に大岩の一番上まで手を伸ばした。
端を掴むと、びよーんと一気に飛び上がる。

「やった!」

そして少し経って、箱を抱えたルフィが顔を出した。

「あったぞ、宝箱!5個!!」

それを聞いたガイモンが期待に目を輝かせる。

「よっしゃでかした!ここへ落としてくれ、それを!おれに当たらんようにな、わっはっはっはっは・・・」
「いやだ」

ガイモンの笑い声をさえぎるように、ルフィは言った。
心なしか、顔が引きつっている。

「なに!?」
「な・・・、何バカな事言ってんのよ!冗談やめて、早く落としなさいよ!それ全部、こっちへ渡して!!!」
「いやだね、渡したくねェ!」

ナミの声にも、ルフィは聞かない。

「あんた、いい加減に・・・」
「いいんだ!もういい!渡したくないんなら!!」

ガイモンがナミを止める。

「いい訳ないじゃない!どうしてそんなこと言えるの?あの宝は・・・」

しかしガイモンは、ルフィを見上げて言った。

「麦わら!・・・お前は、いい奴だなァ・・・」
その目には涙が浮かんでいる。

「うすうすな・・・、もしかしたらってな・・・、思ってたんだ。・・・なるべく、考えないようにしてたんだが・・・」

ルフィは箱を抱えて座り込む。

「ないんだろう、中身が・・・」
ガイモンはこらえきれずに泣き出した。

「・・・うん、全部空っぽだ」
ルフィが静かに言う。

「宝の地図が存在する財宝には・・・、よくあることなんだ。地図を手に入れた時には、宝はすでに奪われた後だってことは・・・」
ガイモンがしゃくりあげる。

「そんな・・・、20年も守り続けた宝がただの箱だったなんて・・・」

ナミもショックだ。
しかし、そんな雰囲気を追い払うようにルフィは笑った。

「だっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!まァ、くよくよすんなよ、おっさん!20年でおれ達が来てよかったよ!あと30年遅かったら死んでたかもな!」
「麦わら・・・」

つられてガイモンも笑う。

「これだけバカみちまったら、後は”ワンピース”しかねェよ。おれともう一回海賊やろう!!」
「お前・・・、おれを誘ってくれるのか・・・!!!」

ルフィの言葉が本当に嬉しかった。







「─── 本当に、この島に残るのか?おっさん」

ルフィが残念そうに言った。
ガイモンはルフィたちを浜辺で見送っていた。

「ああ、誘ってくれて嬉しかったぜ。宝はなくなったが、”森の番人”は続けてぇんだ」
「どうして?」

ナミが尋ねる。

「あの森にはな、珍しい動物がたくさん住んでるんだ」
「ああ!変なヘビとか・・・ブタとかね」
「この島に来る奴らは、宝よりむしろ珍獣を狙う方が多かった。さすがに20年居りゃ動物達にも愛着がわく。あいつらを見捨てるわけにはいかねェ」

ルフィが言った。

「おっさんも珍獣だもんな」
「ブッ殺すぞ!」

・・・気を取り直して。

「それにな、宝がなくなって気が楽になった。おれは改めてこの島でのんびりやるさ!」
「そうか!残念だな、おっさん面白ェのに」
「お前には必ずいい仲間が集まる!”ワンピース”はお前が見つけて、世界を買っちまえ!」
「ああ、そうする!じゃあな!!」

二つの船を見送るガイモンの後ろには、珍獣たちが勢ぞろいして一緒に見送っていた。





船は再び、”偉大なる航路”へ進路を向ける ───
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