第28話 三日月
「お前ら・・・、一緒に戦ってくれるのか?」
ウソップは耳を疑った。
─── 今日初めて会った奴らが・・・。
「な・・・何で・・・」
「だって、敵は大勢いるんだろ?」
ルフィがこぶしを握り締めながら言う。
「恐ェって顔に書いてあるぜ」
ゾロも言った。
その横でナミもうなずく。
ウソップは反論した。
「お!おれが恐がってるだと!?バカ言え!大勢だろうと何だろうと、おれは平気だ!!!なぜならおれは、勇敢なる海の戦士キャプテン・ウソップだからだ!!!」
しかし、体は正直である。
威勢のいい言葉とは裏腹に、膝の震えが止まらない。
それに気づいたウソップは、必死で震えを止めようと膝を殴りつけた。
「く・・・くそっ!・・・見世物じゃねェぞ!相手はC(キャプテン)・クロの海賊団、恐ェもんは恐ェんだ!それがどうした!!おれは同情なら受ける気はねェ。てめェら帰れ!帰れ帰れ!!」
ゾロは真顔で言った。
「笑ってやしねェだろ?立派だと思うから手を貸すんだ」
ルフィも言う。
「同情なんかで命懸けるか!」
「う・・・、お、お前ら・・・!」
ウソップは思わずべそをかいた。
「─── この海岸から奴らは攻めてくる」
ウソップが辺りの地形の説明を始めた。
「だが、ここから村へ入るルートはこの坂道1本だけだ。あとは絶壁!」
ウソップが指差した方には急な坂道が村の方まで続いている。
「つまり、この坂道を死守できれば村が襲われることはねェ!」
ルフィが笑いながら言った。
「そうか、簡単だな」
「口で言うのはな!あとは戦力次第・・・。お前ら、何ができる?」
ウソップの問いに、3人が答えた。
「斬る」
「伸びる」
「盗む」
そして、ウソップが続く。
「隠れる」
「お前は戦えよ!!!」
3人が揃ってツッこんだ。
空には三日月がうすい光を放っている。
その頃、カヤの屋敷では。
「─── お嬢様は?」
「もうお休みです。だいぶお疲れのようで・・・」
「・・・しかし、私が隣町へ行ってる間にそんなことが・・・」
夜遅くに屋敷へ戻ってきたクラハドールは、メリーの報告を聞きながらネクタイをゆっくりと緩めた。
「あのウソップという若者にも困ったものだ」
「ええ・・・、よりによってあなたが海賊だと言い出すんですから・・・」
メリーが苦笑しながら言った。
「フフ・・・、そうですね」
クラハドールはメリーに背を向けながらほくそ笑む。
ふと、彼は窓辺に置かれた小さな包みに気がついた。
「ん?これは?」
「ああ、それは・・・」
メリーが答える。
「お嬢様からあなたへのプレゼントのようです。なんでも明日はあなたがこの屋敷へ来てちょうど3年目になるとかで、記念日というやつですね」
「記念日・・・」
クラハドールは自身が今かけているメガネのズレを直しながら、包みの中から真新しいメガネを取り出した。
「あなたの今のメガネはよくズレる様なので、なんとお嬢様が設計して特注なさった品なんですよ!ホントにもー、よく気のつく優しい方だ・・・」
メリーは昼間のカヤの様子を思い出し、笑顔がほころんだ。
「記念日というなら確かに・・・、明日は記念日だ」
クラハドールは窓から外を眺める。メガネの奥がキラリと光った。
「え?」
「今夜は三日月ですね・・・」
クラハドールが空を見上げる。
「こんな夜は胸が高鳴るというか・・・、血が騒ぐというか・・・」
そしてメガネの入った包みを足元に落とすと、そうするのが当然かのように思いっきり踏み潰した。
「な!!」
メリーは突然の出来事に慌てて大声を上げる。
「ク・・・クラハドールさん!?あんた、お嬢様のプレゼントに何を!!!」
「プレゼントなら受け取りますよ。・・・だがこんな物ではなく・・・、この屋敷丸ごとだ・・・!」
振り返ったクラハドールの表情はもうこの屋敷の有能な執事ではない。海賊C・クロそのものであった。
「え・・・・・・!!?え・・・・・!!?」
クラハドールの豹変に、メリーは戸惑う。
クラハドール、いやC・クロはそんなメリーにゆっくりと近づく。
まるで獲物を追い詰めるように。
「もう芝居を続ける意味はあるまい。あと数時間で事故は起きるのだから」
ギラリと光を放つ刃物。
「実に長かったよ、3年間は・・・」
「!お嬢様、逃げ・・・・・!!!」
C・クロが風のようにメリーを襲う。
彼が過ぎ去った後には、メリーが血まみれで倒れているのみだった。
島の沖合いに、1隻の海賊船が停泊していた。
海賊旗は、黒猫の顔に交差する骨。
クロネコ海賊団の船である。
船は襲撃を待ちわびていた。
「ジャンゴ船長!」
海賊の1人が船長室のドアを叩く。
「じきに夜明けです!起きて下さい!!」
しばらくして船長室のドアが開き、ジャンゴが後ろ向きで現れた。
「あ、船長おはようございます」
「おはようございます」
手下たちの朝の挨拶に、ジャンゴは答える。
「バカヤロウ、”おはよう”ってのは朝日とともに言うのがおれのポリシーだ。まだ月も落ちねェ真夜中だぜ」
「そ・・そりゃ失礼を!」
慌てる手下たちを尻目に、ジャンゴはツィ・・・とムーンウォーク。
そして静かに振り返って一言。
「野郎ども、おはよう」
ポリシーはどこ行った。
しかしこれが、現クロネコ海賊団船長”1・2のジャンゴ”なのである。
そしてその言葉を合図に、
「出航だァ!!!」
「オオオーッ!!!」
海賊たちは鬨の声を上げたのである。
「よし完璧だ!」
ウソップの目の前に広がる坂道には、彼によってある仕掛けが施されていた。
「これで奴らはもう、この坂道を登れない!ここに敷きつめられた大量の油によってな。奴らがこの坂でツルツル滑ってもがいてるスキにブチのめす作戦だ。とにかく何が何でも、この1本の坂道は守り抜く!」
「逆に自分達が滑り落ちなきゃいいけどね。アリ地獄に飛び込むようなものだもん」
ナミが坂を見下ろしながら言った。
ルフィも油をちょんちょんと足先でつつきながら言う。
「お前、よくこんなチョコザイなこと思いつくなー」
「そりゃそうだ!おれはチョコザイさとパチンコの腕にかけては、絶対の自信を持ってる!!」
ウソップは胸を張った。
次第に夜が明ける。
「夜明けだ」
「来るぞ・・・」
それぞれの想いを乗せ、水平線からゆっくりと朝日は昇る。
「海岸に着いたぞォーっ!!!」
島の海岸に猫の船首の大きな船が着けられる。
クロネコ海賊団がとうとう島に到着したのだ。
「上陸だ、野郎どもォ!村を荒らして屋敷を目指せ!!!」
「うおおおーっ!!!」
ジャンゴの声に、手下たちが答える。
ふと、1人の手下が気づいた。
「船長!妙な船が2艘ありますが・・・」
「ほっとけ、宝船でもあるめェし」
・・・あり?ジャンゴが見逃した船2艘って・・・。
その頃、ルフィたちは。
「来ねェなァ・・・、朝なのに・・・」
「寝坊でもしてんじゃねェのか?」
未だ来ない海賊たちを待ちわびていた。
しばらくして、気づいたのはナミだった。
「─── あのさ、気のせいかしら。北の方でオーって声が聞こえるの・・・」
「北!?」
ウソップがハッとする。
「うん、やっぱり聞こえるわ」
ナミが耳を澄ます。
ウソップは焦って頭を抱えた。
「き・・・北にも上陸地点がある・・・!まさか・・」
「おい、どうした!?」
「海岸間違えたのか、もしかして!!」
ルフィとゾロが揃って言う。
「だってよ、あいつらこの海岸で密会してたから、てっきり!!」
ムリもないけど!
「急ごう!村に入っちまうぞ、どこだそれ!」
ルフィが焦って言った。
「ここからまっすぐ北へ向かって走れば3分で着く。地形はここと変わらねェから、坂道で食い止められりゃいいんだが!」
ナミがもう1つ気づいた。
「まずいっ!北の海岸ってったら、私達の船がある場所だ!船の宝が取られちゃうっ!!」
そりゃ一大事。
「20秒でそこ行くぞ!!!」
ルフィは猛然と突っ走って行く。
「ちっきしょお、せっかくの油作戦が台無しだ!」
ウソップも後を追いかける。
「急がな・・・!」
ツルン!
ナミがお宝の為に走り出した時だった。撒いてある油に足をとられてしまったのだ。
いらんところで油作戦が功を奏してしまった。
「きゃああ!助けて、落ちる!!」
ナミの叫び声にゾロが振り返る。
「おいナミ、何やってんだ」
ナミの手がゾロのシャツを寸でで掴んだ。
「うわあああっ!!手ェ放せ、バカ!!」
べちゃっ!!
ナミが思いっきりゾロを引っ張る。
当然、ゾロもナミと一緒に滑っていく。
「あ、ごめん・・・。・・・!しめたっ、ありがとゾロ」
とっさの判断で、ナミは滑っていくゾロを踏み台に油のトラップから抜け出すことに成功した。
「うががががっ!!」
踏み台にされた反動で、ゾロは坂の一番下まで滑り落ちてしまった。
「あ・・・」
ナミはそんなゾロを、一瞬申し訳なさそうに見つめたが、
「わるいっ!宝が危ないの!!何とか這い上がってぇ・・・」
優しい言葉を残し、走り去った。
「あの女、殺す!!」
ゾロの悲しい叫びがあたりに響いた。
ウソップは走る。
「村には絶対入らせねェ!!・・・!しかし、あいつ足速ェな、もう姿が見えねェ」
先に走って行ったルフィは、ウソップからはもう見えない。
ルフィは走る。
「北へまっすぐ!北へまっすぐ!」
ナミも走る。
「私の宝に手ェ出したら許さないから!」
北の海岸の坂道では、クロネコ海賊団が雄たけびを上げて駆け上っていた。
「ぎゃーっはっはっはっはっは!!!」
「暴れてやるぜ!!!」
その時だった。
「うわっ!!」
「ぐお」
海賊達がなぎ倒されていく。
「坂の上に誰かいるぞ!」
ジャンゴはその誰かの姿を確認した。
「!!てめェは・・・」
そこには石つぶてとパチンコを手に息を切らす、ウソップの姿があった。
「おれの名はキャプテン・ウソップ!お前らをず~~~っとここで待っていた!た・・・戦いの準備は万端だ!死にたくなきゃさっさと引き返せ!!!」
その時ゾロは。
「くっそーっ、どうすりゃいいんだ登れねェ!!!」
油と格闘中だった。
さすが、ウソップ。超強力トラップ。
その時ルフィは。
「あれ?村に出ちまったぞ!?おっかしいなー、北ってゆうから寒そうな方角に走ってきたのにっ!!」
・・・迷ってた。
北=寒いが、ルフィの常識。
ウソップは耳を疑った。
─── 今日初めて会った奴らが・・・。
「な・・・何で・・・」
「だって、敵は大勢いるんだろ?」
ルフィがこぶしを握り締めながら言う。
「恐ェって顔に書いてあるぜ」
ゾロも言った。
その横でナミもうなずく。
ウソップは反論した。
「お!おれが恐がってるだと!?バカ言え!大勢だろうと何だろうと、おれは平気だ!!!なぜならおれは、勇敢なる海の戦士キャプテン・ウソップだからだ!!!」
しかし、体は正直である。
威勢のいい言葉とは裏腹に、膝の震えが止まらない。
それに気づいたウソップは、必死で震えを止めようと膝を殴りつけた。
「く・・・くそっ!・・・見世物じゃねェぞ!相手はC(キャプテン)・クロの海賊団、恐ェもんは恐ェんだ!それがどうした!!おれは同情なら受ける気はねェ。てめェら帰れ!帰れ帰れ!!」
ゾロは真顔で言った。
「笑ってやしねェだろ?立派だと思うから手を貸すんだ」
ルフィも言う。
「同情なんかで命懸けるか!」
「う・・・、お、お前ら・・・!」
ウソップは思わずべそをかいた。
「─── この海岸から奴らは攻めてくる」
ウソップが辺りの地形の説明を始めた。
「だが、ここから村へ入るルートはこの坂道1本だけだ。あとは絶壁!」
ウソップが指差した方には急な坂道が村の方まで続いている。
「つまり、この坂道を死守できれば村が襲われることはねェ!」
ルフィが笑いながら言った。
「そうか、簡単だな」
「口で言うのはな!あとは戦力次第・・・。お前ら、何ができる?」
ウソップの問いに、3人が答えた。
「斬る」
「伸びる」
「盗む」
そして、ウソップが続く。
「隠れる」
「お前は戦えよ!!!」
3人が揃ってツッこんだ。
空には三日月がうすい光を放っている。
その頃、カヤの屋敷では。
「─── お嬢様は?」
「もうお休みです。だいぶお疲れのようで・・・」
「・・・しかし、私が隣町へ行ってる間にそんなことが・・・」
夜遅くに屋敷へ戻ってきたクラハドールは、メリーの報告を聞きながらネクタイをゆっくりと緩めた。
「あのウソップという若者にも困ったものだ」
「ええ・・・、よりによってあなたが海賊だと言い出すんですから・・・」
メリーが苦笑しながら言った。
「フフ・・・、そうですね」
クラハドールはメリーに背を向けながらほくそ笑む。
ふと、彼は窓辺に置かれた小さな包みに気がついた。
「ん?これは?」
「ああ、それは・・・」
メリーが答える。
「お嬢様からあなたへのプレゼントのようです。なんでも明日はあなたがこの屋敷へ来てちょうど3年目になるとかで、記念日というやつですね」
「記念日・・・」
クラハドールは自身が今かけているメガネのズレを直しながら、包みの中から真新しいメガネを取り出した。
「あなたの今のメガネはよくズレる様なので、なんとお嬢様が設計して特注なさった品なんですよ!ホントにもー、よく気のつく優しい方だ・・・」
メリーは昼間のカヤの様子を思い出し、笑顔がほころんだ。
「記念日というなら確かに・・・、明日は記念日だ」
クラハドールは窓から外を眺める。メガネの奥がキラリと光った。
「え?」
「今夜は三日月ですね・・・」
クラハドールが空を見上げる。
「こんな夜は胸が高鳴るというか・・・、血が騒ぐというか・・・」
そしてメガネの入った包みを足元に落とすと、そうするのが当然かのように思いっきり踏み潰した。
「な!!」
メリーは突然の出来事に慌てて大声を上げる。
「ク・・・クラハドールさん!?あんた、お嬢様のプレゼントに何を!!!」
「プレゼントなら受け取りますよ。・・・だがこんな物ではなく・・・、この屋敷丸ごとだ・・・!」
振り返ったクラハドールの表情はもうこの屋敷の有能な執事ではない。海賊C・クロそのものであった。
「え・・・・・・!!?え・・・・・!!?」
クラハドールの豹変に、メリーは戸惑う。
クラハドール、いやC・クロはそんなメリーにゆっくりと近づく。
まるで獲物を追い詰めるように。
「もう芝居を続ける意味はあるまい。あと数時間で事故は起きるのだから」
ギラリと光を放つ刃物。
「実に長かったよ、3年間は・・・」
「!お嬢様、逃げ・・・・・!!!」
C・クロが風のようにメリーを襲う。
彼が過ぎ去った後には、メリーが血まみれで倒れているのみだった。
島の沖合いに、1隻の海賊船が停泊していた。
海賊旗は、黒猫の顔に交差する骨。
クロネコ海賊団の船である。
船は襲撃を待ちわびていた。
「ジャンゴ船長!」
海賊の1人が船長室のドアを叩く。
「じきに夜明けです!起きて下さい!!」
しばらくして船長室のドアが開き、ジャンゴが後ろ向きで現れた。
「あ、船長おはようございます」
「おはようございます」
手下たちの朝の挨拶に、ジャンゴは答える。
「バカヤロウ、”おはよう”ってのは朝日とともに言うのがおれのポリシーだ。まだ月も落ちねェ真夜中だぜ」
「そ・・そりゃ失礼を!」
慌てる手下たちを尻目に、ジャンゴはツィ・・・とムーンウォーク。
そして静かに振り返って一言。
「野郎ども、おはよう」
ポリシーはどこ行った。
しかしこれが、現クロネコ海賊団船長”1・2のジャンゴ”なのである。
そしてその言葉を合図に、
「出航だァ!!!」
「オオオーッ!!!」
海賊たちは鬨の声を上げたのである。
「よし完璧だ!」
ウソップの目の前に広がる坂道には、彼によってある仕掛けが施されていた。
「これで奴らはもう、この坂道を登れない!ここに敷きつめられた大量の油によってな。奴らがこの坂でツルツル滑ってもがいてるスキにブチのめす作戦だ。とにかく何が何でも、この1本の坂道は守り抜く!」
「逆に自分達が滑り落ちなきゃいいけどね。アリ地獄に飛び込むようなものだもん」
ナミが坂を見下ろしながら言った。
ルフィも油をちょんちょんと足先でつつきながら言う。
「お前、よくこんなチョコザイなこと思いつくなー」
「そりゃそうだ!おれはチョコザイさとパチンコの腕にかけては、絶対の自信を持ってる!!」
ウソップは胸を張った。
次第に夜が明ける。
「夜明けだ」
「来るぞ・・・」
それぞれの想いを乗せ、水平線からゆっくりと朝日は昇る。
「海岸に着いたぞォーっ!!!」
島の海岸に猫の船首の大きな船が着けられる。
クロネコ海賊団がとうとう島に到着したのだ。
「上陸だ、野郎どもォ!村を荒らして屋敷を目指せ!!!」
「うおおおーっ!!!」
ジャンゴの声に、手下たちが答える。
ふと、1人の手下が気づいた。
「船長!妙な船が2艘ありますが・・・」
「ほっとけ、宝船でもあるめェし」
・・・あり?ジャンゴが見逃した船2艘って・・・。
その頃、ルフィたちは。
「来ねェなァ・・・、朝なのに・・・」
「寝坊でもしてんじゃねェのか?」
未だ来ない海賊たちを待ちわびていた。
しばらくして、気づいたのはナミだった。
「─── あのさ、気のせいかしら。北の方でオーって声が聞こえるの・・・」
「北!?」
ウソップがハッとする。
「うん、やっぱり聞こえるわ」
ナミが耳を澄ます。
ウソップは焦って頭を抱えた。
「き・・・北にも上陸地点がある・・・!まさか・・」
「おい、どうした!?」
「海岸間違えたのか、もしかして!!」
ルフィとゾロが揃って言う。
「だってよ、あいつらこの海岸で密会してたから、てっきり!!」
ムリもないけど!
「急ごう!村に入っちまうぞ、どこだそれ!」
ルフィが焦って言った。
「ここからまっすぐ北へ向かって走れば3分で着く。地形はここと変わらねェから、坂道で食い止められりゃいいんだが!」
ナミがもう1つ気づいた。
「まずいっ!北の海岸ってったら、私達の船がある場所だ!船の宝が取られちゃうっ!!」
そりゃ一大事。
「20秒でそこ行くぞ!!!」
ルフィは猛然と突っ走って行く。
「ちっきしょお、せっかくの油作戦が台無しだ!」
ウソップも後を追いかける。
「急がな・・・!」
ツルン!
ナミがお宝の為に走り出した時だった。撒いてある油に足をとられてしまったのだ。
いらんところで油作戦が功を奏してしまった。
「きゃああ!助けて、落ちる!!」
ナミの叫び声にゾロが振り返る。
「おいナミ、何やってんだ」
ナミの手がゾロのシャツを寸でで掴んだ。
「うわあああっ!!手ェ放せ、バカ!!」
べちゃっ!!
ナミが思いっきりゾロを引っ張る。
当然、ゾロもナミと一緒に滑っていく。
「あ、ごめん・・・。・・・!しめたっ、ありがとゾロ」
とっさの判断で、ナミは滑っていくゾロを踏み台に油のトラップから抜け出すことに成功した。
「うががががっ!!」
踏み台にされた反動で、ゾロは坂の一番下まで滑り落ちてしまった。
「あ・・・」
ナミはそんなゾロを、一瞬申し訳なさそうに見つめたが、
「わるいっ!宝が危ないの!!何とか這い上がってぇ・・・」
優しい言葉を残し、走り去った。
「あの女、殺す!!」
ゾロの悲しい叫びがあたりに響いた。
ウソップは走る。
「村には絶対入らせねェ!!・・・!しかし、あいつ足速ェな、もう姿が見えねェ」
先に走って行ったルフィは、ウソップからはもう見えない。
ルフィは走る。
「北へまっすぐ!北へまっすぐ!」
ナミも走る。
「私の宝に手ェ出したら許さないから!」
北の海岸の坂道では、クロネコ海賊団が雄たけびを上げて駆け上っていた。
「ぎゃーっはっはっはっはっは!!!」
「暴れてやるぜ!!!」
その時だった。
「うわっ!!」
「ぐお」
海賊達がなぎ倒されていく。
「坂の上に誰かいるぞ!」
ジャンゴはその誰かの姿を確認した。
「!!てめェは・・・」
そこには石つぶてとパチンコを手に息を切らす、ウソップの姿があった。
「おれの名はキャプテン・ウソップ!お前らをず~~~っとここで待っていた!た・・・戦いの準備は万端だ!死にたくなきゃさっさと引き返せ!!!」
その時ゾロは。
「くっそーっ、どうすりゃいいんだ登れねェ!!!」
油と格闘中だった。
さすが、ウソップ。超強力トラップ。
その時ルフィは。
「あれ?村に出ちまったぞ!?おっかしいなー、北ってゆうから寒そうな方角に走ってきたのにっ!!」
・・・迷ってた。
北=寒いが、ルフィの常識。
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