第30話 GREAT!!!
夜も明けきった頃。
屋敷の玄関先では、仲間の到着を今かと待ちわびるクラハドール、いやC(キャプテン)・クロの姿があった。
不機嫌さを前面に押し出して、入り口の階段に座り込んでいる。
「あの野郎ども・・・」
両手でメガネのズレを直す。
「おれの予定を狂わせた奴がどうなるかは、百も承知のハズだぞ。モタモタしやがって・・・!!!」
彼はすくっと立ち上がった。
「そんな事も忘れちまったってんなら・・・」
「皆殺しだ!!!」
彼は北の海岸へ向けてゆっくりと歩き始めた。
当の北の海岸では、坂の上から2人の男が坂の下の海賊たちを見下ろしていた。
「お・・・お前ら、こんなに強かったのか・・・!」
「うん」
地面に倒れていたウソップが唖然としながらルフィに言った。
「あんた達おっそいのよ、来んのが!!」
ナミが呆れたようにゾロに言う。
「てめェがおれを陥れたんだろうがよ!!!」
ゾロがカチンとして言い返す。
「あれは事故よ。仕方ないでしょ、2人とも落ちるより1人でも助かった方がいいじゃない」
「じゃあお前が落ちろ!!」
もう一方でも言い合いが始まる。
「だいたいだなー!北とか北じゃないとか、そうゆうのでわかるわけないだろ!!」
「何ィ!?おまえ自身持ってまっ先に走り出したろ」
「あれは何となくだよ、何となく!!!」
ギャーギャー騒ぐ彼らを見上げながら、ジャンゴは地面に転がる海賊たちに言った。
「おい、野郎ども。まさかあんなガキ2人相手に、くたばっちゃいねェだろうな」
「・・・・・!!」
「・・・お、おう・・・!!」
よろよろと立ち上がり始める。
ルフィがそれに気づいた。
「お!なんだ生きてるよ。根性あるなー」
ジャンゴが言う。
「いいか、おれ達はこんな所でグズグズやってる暇はねェ。相手が強けりゃこっちも強くなるんだ」
そして、輪っかを海賊たちに向け、ゆっくりと揺らし始めた。
「さァ、この輪をじっと見ろ・・・。ワン・ツー・ジャンゴでお前らは強くなる。傷は完全回復し!だんだんだんだん強くなる!」
「─── 何やってんだ、あいつら」
「・・・さァな」
その様子を見ながら、ルフィとウソップがつぶやく。
ナミには何をやってるのかわかっていた。
「催眠術よ、きっと・・・!思い込みで強くなろうとしてんの!」
ジャンゴの声が響いた。
「ワーン!」
「ツー!!」
「ジャンゴ!!!」
今度は輪っかを見ないよう、かぶっている帽子で目を覆う。
「ウオオオオオーッ!!!!」
みごとに催眠術をかけられた海賊たちは雄たけびを上げた。
ナミは目を疑った。
「うそっ!あんなにフラフラだったのにっ!!!」
海賊たちは次々に崖の壁を殴りつけていく。
一撃でひびが入り、ごっそりと崩れていく。
「ウオオオオオーッ!!!」
ゾロも目を疑った。
「崖をえぐりやがった・・・!なんてパワーだっ!」
ナミが頭を抱える。
「そんな・・・!本当に催眠がかかってる!」
ウソップも焦って言う。
「1人でも崖をえぐるってのに、あの人数じゃ・・・!!」
ジャンゴが命じる。
「行けっ!邪魔する奴らはひねり潰せ!!!」
「ウオオオオオーッ!!!」
海賊たちが坂の上のルフィたちに向かって猛然と突っ込んでくる。
「お前ら、坂の上へ上がってろ。ここはおれ達がやる・・・」
ウソップを抱えるナミに、ゾロが支持する。
ふと、ルフィを見つめる。なんか様子がおかしい。
「おいルフィ!」
刀の鯉口を切りながら、再度呼びかける。
「ルフィ!?」
「うおああああーっ!!!!!」
ルフィが叫ぶ。
目が普段の彼のそれとは違う。
「お前も催眠にかかってんのかァ!!!」
ゾロがツっこんだ。
坂の下ではジャンゴも驚いている。
「な・・・なんて単純なの。人の催眠にかかるなんて・・・」
ナミが呆れて言った。
「オオオオオオ!」
海賊たちが突っ込んでくる。
「うああああーっ!!!」
それに対してルフィも猛然と突っ込んで行った。
「ゴムゴムのっ!!!」
「銃乱打(ガトリング)!!!!!」
ルフィの目に見えない速さで繰り出される大量のパンチが海賊たちに炸裂する。
「うぎゃあああ!!!」
海賊たちが再び、次々と坂の下に飛ばされて行く。
そしてさらに。
「ぬああああ!!!」
海賊たちに向かって突進する。
催眠による思い込みで強くなったとしても、人間の本能はそう変わらない。
「いやあああ!!!」
「ぐあーっ!!!」
海賊たちは泡をくって逃げ惑った。
しかし。
ルフィは海賊たちを追い抜き、海岸に舫ってあった海賊船の船首に飛びつく。
「・・・な、何する気だ・・・!?」
「ぬうあああああああっ!!!」
メリメリメリ・・・。
船首をガシッと抱えると、力任せに船体から引き剥がす。
「うわああっ!!船首をもぎ取ってやがる!船を壊す気だァ!!!」
そしてルフィは海賊たちを振り返る。
「ち、違うっ!!」
「おれ達を殺す気だァ~~~っ!!!」
ルフィはもぎ取った船首を抱え、ゆっくりと海賊たちに迫っていく。
「船長何とかして下さいーっ!!!」
ジャンゴは輪っかを取り出した。
「ワン・ツー・ジャンゴで眠くなれっ!!!」
ゆっくりと揺らす。
「ワーン」
「ツー」
「おおーっ!!!」
ルフィが迫る。
「ジャンゴ!!!」
ジャンゴが帽子で目を隠す。
次の瞬間、ルフィは眠りに落ちていた。
ということは・・・。
「うわああ~~~っ!!」
支える力のなくなった船首は、ゆっくりと海賊達のほうへ倒れていく。
「ぎゃああーっ!!!」
海賊たちは見事に船首の下敷きになってしまった。
もちろん、ルフィも。
まあ、彼はぐっすり眠りこけてしまっているが。
「─── やりやがった、あのガキ・・・!!これじゃ計画もままならねェ」
ジャンゴが焦りだした。
「C・クロにこんなもん見られちまったら・・・、こいつらはもちろん、おれ達まで皆殺しだ!!!」
「─── なんかほぼ全滅って感じするわね」
坂の上では、ナミがのんびりと言った。
「おい・・・、そんな事よりあいつが船首の下敷きに!!」
1人慌てるウソップ。
「大丈夫、死にゃしねェよ」
ゾロがにやっと笑う。
「お前は自分の出血の心配してろ」
─── その時、海岸の海賊船から声が聞こえてきた。
「おいおいブチ!来て見ろよ、えれェこった船首が折れてる!!」
「何、船首がァ!おいおいどういう理由で折れるんだ!!」
それに気づいた海賊が喘ぎながら言った。
「は・・あ・・、あの声は」
「船の番人”ニャーバン・兄弟”!!」
「・・・何か、まだ船にいるみたいだぜ・・・」
ゾロが軽く警戒しながら言う。
ジャンゴの表情が焦りから安堵に変わった。
「そうかまだ、あいつらがいた・・・!」
その頃、村の小道をC・クロは歩いていた。
無表情で。時折手のひらでメガネのズレを直しながら。
その顔は、村人がよく知る誠実な執事の様ではなかった。
その様子を木の陰から見つめる瞳。
ウソップ海賊団の1人、たまねぎだった。
「やっぱり屋敷の羊だ・・・。何で海岸に向かってるんだろ、こんな朝早くから・・・」
屋敷の玄関先では、仲間の到着を今かと待ちわびるクラハドール、いやC(キャプテン)・クロの姿があった。
不機嫌さを前面に押し出して、入り口の階段に座り込んでいる。
「あの野郎ども・・・」
両手でメガネのズレを直す。
「おれの予定を狂わせた奴がどうなるかは、百も承知のハズだぞ。モタモタしやがって・・・!!!」
彼はすくっと立ち上がった。
「そんな事も忘れちまったってんなら・・・」
「皆殺しだ!!!」
彼は北の海岸へ向けてゆっくりと歩き始めた。
当の北の海岸では、坂の上から2人の男が坂の下の海賊たちを見下ろしていた。
「お・・・お前ら、こんなに強かったのか・・・!」
「うん」
地面に倒れていたウソップが唖然としながらルフィに言った。
「あんた達おっそいのよ、来んのが!!」
ナミが呆れたようにゾロに言う。
「てめェがおれを陥れたんだろうがよ!!!」
ゾロがカチンとして言い返す。
「あれは事故よ。仕方ないでしょ、2人とも落ちるより1人でも助かった方がいいじゃない」
「じゃあお前が落ちろ!!」
もう一方でも言い合いが始まる。
「だいたいだなー!北とか北じゃないとか、そうゆうのでわかるわけないだろ!!」
「何ィ!?おまえ自身持ってまっ先に走り出したろ」
「あれは何となくだよ、何となく!!!」
ギャーギャー騒ぐ彼らを見上げながら、ジャンゴは地面に転がる海賊たちに言った。
「おい、野郎ども。まさかあんなガキ2人相手に、くたばっちゃいねェだろうな」
「・・・・・!!」
「・・・お、おう・・・!!」
よろよろと立ち上がり始める。
ルフィがそれに気づいた。
「お!なんだ生きてるよ。根性あるなー」
ジャンゴが言う。
「いいか、おれ達はこんな所でグズグズやってる暇はねェ。相手が強けりゃこっちも強くなるんだ」
そして、輪っかを海賊たちに向け、ゆっくりと揺らし始めた。
「さァ、この輪をじっと見ろ・・・。ワン・ツー・ジャンゴでお前らは強くなる。傷は完全回復し!だんだんだんだん強くなる!」
「─── 何やってんだ、あいつら」
「・・・さァな」
その様子を見ながら、ルフィとウソップがつぶやく。
ナミには何をやってるのかわかっていた。
「催眠術よ、きっと・・・!思い込みで強くなろうとしてんの!」
ジャンゴの声が響いた。
「ワーン!」
「ツー!!」
「ジャンゴ!!!」
今度は輪っかを見ないよう、かぶっている帽子で目を覆う。
「ウオオオオオーッ!!!!」
みごとに催眠術をかけられた海賊たちは雄たけびを上げた。
ナミは目を疑った。
「うそっ!あんなにフラフラだったのにっ!!!」
海賊たちは次々に崖の壁を殴りつけていく。
一撃でひびが入り、ごっそりと崩れていく。
「ウオオオオオーッ!!!」
ゾロも目を疑った。
「崖をえぐりやがった・・・!なんてパワーだっ!」
ナミが頭を抱える。
「そんな・・・!本当に催眠がかかってる!」
ウソップも焦って言う。
「1人でも崖をえぐるってのに、あの人数じゃ・・・!!」
ジャンゴが命じる。
「行けっ!邪魔する奴らはひねり潰せ!!!」
「ウオオオオオーッ!!!」
海賊たちが坂の上のルフィたちに向かって猛然と突っ込んでくる。
「お前ら、坂の上へ上がってろ。ここはおれ達がやる・・・」
ウソップを抱えるナミに、ゾロが支持する。
ふと、ルフィを見つめる。なんか様子がおかしい。
「おいルフィ!」
刀の鯉口を切りながら、再度呼びかける。
「ルフィ!?」
「うおああああーっ!!!!!」
ルフィが叫ぶ。
目が普段の彼のそれとは違う。
「お前も催眠にかかってんのかァ!!!」
ゾロがツっこんだ。
坂の下ではジャンゴも驚いている。
「な・・・なんて単純なの。人の催眠にかかるなんて・・・」
ナミが呆れて言った。
「オオオオオオ!」
海賊たちが突っ込んでくる。
「うああああーっ!!!」
それに対してルフィも猛然と突っ込んで行った。
「ゴムゴムのっ!!!」
「銃乱打(ガトリング)!!!!!」
ルフィの目に見えない速さで繰り出される大量のパンチが海賊たちに炸裂する。
「うぎゃあああ!!!」
海賊たちが再び、次々と坂の下に飛ばされて行く。
そしてさらに。
「ぬああああ!!!」
海賊たちに向かって突進する。
催眠による思い込みで強くなったとしても、人間の本能はそう変わらない。
「いやあああ!!!」
「ぐあーっ!!!」
海賊たちは泡をくって逃げ惑った。
しかし。
ルフィは海賊たちを追い抜き、海岸に舫ってあった海賊船の船首に飛びつく。
「・・・な、何する気だ・・・!?」
「ぬうあああああああっ!!!」
メリメリメリ・・・。
船首をガシッと抱えると、力任せに船体から引き剥がす。
「うわああっ!!船首をもぎ取ってやがる!船を壊す気だァ!!!」
そしてルフィは海賊たちを振り返る。
「ち、違うっ!!」
「おれ達を殺す気だァ~~~っ!!!」
ルフィはもぎ取った船首を抱え、ゆっくりと海賊たちに迫っていく。
「船長何とかして下さいーっ!!!」
ジャンゴは輪っかを取り出した。
「ワン・ツー・ジャンゴで眠くなれっ!!!」
ゆっくりと揺らす。
「ワーン」
「ツー」
「おおーっ!!!」
ルフィが迫る。
「ジャンゴ!!!」
ジャンゴが帽子で目を隠す。
次の瞬間、ルフィは眠りに落ちていた。
ということは・・・。
「うわああ~~~っ!!」
支える力のなくなった船首は、ゆっくりと海賊達のほうへ倒れていく。
「ぎゃああーっ!!!」
海賊たちは見事に船首の下敷きになってしまった。
もちろん、ルフィも。
まあ、彼はぐっすり眠りこけてしまっているが。
「─── やりやがった、あのガキ・・・!!これじゃ計画もままならねェ」
ジャンゴが焦りだした。
「C・クロにこんなもん見られちまったら・・・、こいつらはもちろん、おれ達まで皆殺しだ!!!」
「─── なんかほぼ全滅って感じするわね」
坂の上では、ナミがのんびりと言った。
「おい・・・、そんな事よりあいつが船首の下敷きに!!」
1人慌てるウソップ。
「大丈夫、死にゃしねェよ」
ゾロがにやっと笑う。
「お前は自分の出血の心配してろ」
─── その時、海岸の海賊船から声が聞こえてきた。
「おいおいブチ!来て見ろよ、えれェこった船首が折れてる!!」
「何、船首がァ!おいおいどういう理由で折れるんだ!!」
それに気づいた海賊が喘ぎながら言った。
「は・・あ・・、あの声は」
「船の番人”ニャーバン・兄弟”!!」
「・・・何か、まだ船にいるみたいだぜ・・・」
ゾロが軽く警戒しながら言う。
ジャンゴの表情が焦りから安堵に変わった。
「そうかまだ、あいつらがいた・・・!」
その頃、村の小道をC・クロは歩いていた。
無表情で。時折手のひらでメガネのズレを直しながら。
その顔は、村人がよく知る誠実な執事の様ではなかった。
その様子を木の陰から見つめる瞳。
ウソップ海賊団の1人、たまねぎだった。
「やっぱり屋敷の羊だ・・・。何で海岸に向かってるんだろ、こんな朝早くから・・・」
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