第33話 音無き男
キャプテン・クロは静かに、だが迫力のある声で言った。
「まさかこんなガキ共に足留めくってるとは・・・、クロネコ海賊団も落ちたもんだな。・・・えェ!!?ジャンゴ!!!」
「だ・・・だがよ!あんた、あの時その小僧ほっといても問題ねェって・・・、そう言ったじゃねェかよ!!」
ジャンゴが怯える。
「・・・ああ、言ったな・・・」
クロの目が光る。
「言ったがどうした・・・!問題はないはずだ。こいつがおれ達に立ち向かってくることくらい、容易に想像できていた。ただ、てめェらの軟弱さは計算外だ。言い訳は聞く気はない」
「な・・・軟弱だと、おれ達が・・・」
「・・・言ってくれるぜ、C(キャプテン)・クロ・・・」
その言葉を聞き流すことはできなかった。
ブチとシャムの表情が変わる。
「確かに、あんたは強かった」
クロがその言葉に反応する。
「何が言いたい」
「おい!やめねェか、ブチ!シャム!」
ジャンゴが焦って止める。
「だがそりゃ、3年前の話だ・・・!あんたがこの村でのんびりやってる間、おれ達は遊んでたわけじゃねェ!」
「おおともよ。いくつもの町を襲い、いくつもの海賊団を海に沈めてきた・・・!!」
「・・・仲間われか・・・!?」
ウソップは唖然として成り行きを見つめていた。
「・・・・・?」
ナミも肩の傷を押さえながら、同じように坂の上を見上げる。
「計画通りに進めなかっただけで、やすやすと殺されるようなおれ達じゃねェ!!」
「ブランク3年のあんたが、現役の、しかもこの”ニャーバン・兄弟”に勝てるかってことだ!!」
その言葉に、他の海賊たちも思い直し始めた。
「それは言えてるかもしれねェ・・・」
「あの2人が組めば、ジャンゴ船長だって勝てやしねェんだ・・・」
「実質、今ウチの”最強”はあのコンビ・・・」
「・・・・・」
クロは黙ったままメガネのズレを直す。
「あんたはもうおれ達のキャプテンじゃねェんだ!!」
「黙って殺されるくらいなら、殺してやる!!!」
そう叫ぶと、ブチとシャムは猛然とクロに突っ込んで行った。
「シャアアア!!!」
2人のカギヅメがクロに襲いかかる。
しかし、斬り裂いたのはクロが持っていたかばんだけ。本体は、いない。
「誰を、殺すだと?」
クロの声が、ブチとシャム2人の後ろから静かに響いた。
「・・・!?いつの間に背後へ・・・」
ウソップは成り行きをずっと見つめていたハズだが・・・、クロがいつ攻撃を避けたのかわからなかった。
「・・・・・!!」
「でた・・・、ぬ!”抜き足”!!」
坂の下の海賊たちが怯える。
「・・・何だ、あの武器は」
ゾロの視線の先には、武器を構えたクロの姿があった。
彼の武器は”ニャーバン・兄弟”のカギヅメの武器に似ているが、より鋭く長い爪が伸びている。
「・・・・・」
何かを期待しているのか、それとも諦めているのか、ジャンゴは黙って戦況を見つめている。
その後ろで、ナミはジャンゴに悟られないようゆっくりと身体を起こした。
「回り込まれたか!!」
ブチとシャムの2人が後ろを振り向く。
しかし、そこにはもうクロはいなかった。
「え?」
「い・・・いねェぞ・・・」
「お前らの言うことは正論だな」
クロが後ろから両腕で2人の肩を抱く。
またしても、目に見えない速さでの移動だった。
「いっ!!!」
「ヒィ!!!」
2人が怯える。
「いまひとつ体にナマリを感じるよ」
クロはそう言いながら、両親指から伸びている爪の切っ先をブチとシャムに向けた。
「確かにおれはもうお前らのキャプテンじゃねェが・・・、計画の依頼人だ・・・!実行できなきゃ殺すまで!!」
「あの”ニャーバン・兄弟”が捕まるところなんて初めて見た・・・!!」
海賊たちが息を呑んだ。
その後ろでナミも同様だった。
─── ・・・!刀1本とはいえ、ゾロを圧してたやつらがまるで子供扱い・・・!!!
「何を期待してやがる、てめェら・・・」
ジャンゴが吐き捨てるように言った。
「あの男の”抜き足”は無音の移動術。暗殺者50人集めても、気配を感じる間もなく殺される。おれ達はこの計画から逃れられやしねェんだ。それに・・・」
ジャンゴが続ける。
「3年ぶりに会ってあのクセを見たときはゾッとしたぜ。”猫の手”で自分の顔を傷つけねェための、あの男の奇妙なメガネの上げ方・・・。まだ戦いを忘れてねェ証拠だ・・・!!」
クロの爪の切っ先がブチの首に突き刺さる。
「いでェっ!!!いで・・・」
「3年もじっとしてるうちに、おれは少し温厚になったようだ・・・」
クロの声が冷たく響く。
「5分やろう。5分でこの場を片付けられねェようなら・・・、てめェら1人残らずおれの手で殺してやる」
「!!!!」
「死にたくねェよォーっ!!!」
その言葉に、海賊たちが叫ぶ。
「5分・・・」
”ニャーバン・兄弟”が息を呑む。
「ケッ・・・」
ゾロが毒づく。
「畜生ォっ!!こんな奴が3年も同じ村に住んでたなんて・・・!!!」
ウソップが叫ぶ。
「5分・・・。5分ありゃあ何とかなる!!」
ジャンゴも自身に言い聞かせるようにつぶやいた。
その後ろで、ナミが少しづつ後ずさる。
ジャンゴの意識は今自分に向いていない。
そう気づいたナミは、その隙にそっと移動した。
”ニャーバン・兄弟”が叫ぶ。
「あいつだ!あいつさえブッ殺せば!!!おれ達はこの坂道を抜けられるんだ!!!」
「そうさ、さっきまでおれらが圧してた相手だ!」
「たいして強かねェ!5秒で切りさいてやる!!!」
その時だった。
「ゾロ!!」
ナミが叫ぶ。
「刀っ!!」
ナミはゾロの刀を2本とも高々と蹴り上げた。
「てめェは・・・!!おれの刀まで足蹴に・・・!!」
それは寸分違わず、ゾロの元に飛んでいく。
ナミがにっと笑う。
「・・・お礼は?」
「あァ・・・」
─── 助かった・・・!!
「ありがとう!!」
ゾロが刀をがっちりと掴む。
そのゾロに”ニャーバン・兄弟”が襲い掛かっていった。さっきとは表情がまるで違う。
彼らも自身の命がかかっている。必死であった。
「シャアアアーッ!!」
「無駄だ無駄だ!刀3本使っても、実力は同じだ!!!」
「わかってねェな・・・」
ゾロが静かに言った。
「”刀3本使うこと”と”3刀流”とじゃ意味が違う」
「シャアアーッ」
”ニャーバン・兄弟”のカギヅメがゾロに襲い掛かる。
ゾロは1本を口に構え、残りの2本を肩に背負うように構えた。
「虎・・・」
「狩り!!!!」
ガシュッ!!!
一瞬の斬撃。
斬られた二人は声もなく坂道を転がっていく。
「い・・・!一撃っ!!!」
「あの”ニャーバン・兄弟”を!!!」
海賊たちがどよめく。
ゾロは刀の切っ先をクロに向けた。
「心配すんな・・・5分も待たなくてもお前らは1人残らず、おれが始末してやる」
「やってみろ」
クロがメガネのズレを直す。
その表情は往年の海賊、キャプテン・クロそのものだった。
「─── ハァ・・・ハァ・・・あいつ・・・。くそ・・・、ブ・・・ブッ殺してやる!」
ゾロの背後でよろよろとブチが起き上がる。
虫の息だが、意識が飛ぶまでには至らなかった。
そして叫ぶ。
「せ・・・船長っ!ジャンゴ船長、催眠をかけてくれ!」
「生きてるぞ、ツメが甘いな・・・」
クロが冷たく言い放った。
ゾロも振り返る。
─── タフな脂肪のおかげで助かったか・・・。
「!」
「ぬ゛っフーン!!!」
ゾロに斬られて虫の息だった筈のブチが、復活している。
目つきもこれまでと違う。
「まさか・・・!また催眠か!?」
ゾロは焦った。
─── あいつは厄介だ・・・!ただでさえ地面にヒビを入れる奴なのに、パワーアップしたらどうなっちまうんだ!
「ん?」
ジャンゴは気づいた。
後ろにいたはずのナミが船の方に向かって走っていく。
─── チャンス!今のうちにあいつを起こさなきゃ!ったく、こんな大変な時に何のんびり寝てんのよ!!
「今度は何する気だ、小ざかしい女め!死ね!!」
ジャンゴがナミに向け、チャクラムを飛ばす。
「みんな大ケガして戦ってるってゆうのに、コイツったら!!」
ナミは船首の下敷きになって眠りこけているルフィの顔を思いっきり踏んづけた。
「起きろォ!!!」
「ぶっ!?」
チャクラムがナミに襲い掛かる。
それに気づいたゾロが叫ぶ。
「ナミ危ない!よけろっ!!!」
「え」
振り返ったナミの視線上に、猛スピードで自分の元へ飛んでくるチャクラムがあった。
「まさかこんなガキ共に足留めくってるとは・・・、クロネコ海賊団も落ちたもんだな。・・・えェ!!?ジャンゴ!!!」
「だ・・・だがよ!あんた、あの時その小僧ほっといても問題ねェって・・・、そう言ったじゃねェかよ!!」
ジャンゴが怯える。
「・・・ああ、言ったな・・・」
クロの目が光る。
「言ったがどうした・・・!問題はないはずだ。こいつがおれ達に立ち向かってくることくらい、容易に想像できていた。ただ、てめェらの軟弱さは計算外だ。言い訳は聞く気はない」
「な・・・軟弱だと、おれ達が・・・」
「・・・言ってくれるぜ、C(キャプテン)・クロ・・・」
その言葉を聞き流すことはできなかった。
ブチとシャムの表情が変わる。
「確かに、あんたは強かった」
クロがその言葉に反応する。
「何が言いたい」
「おい!やめねェか、ブチ!シャム!」
ジャンゴが焦って止める。
「だがそりゃ、3年前の話だ・・・!あんたがこの村でのんびりやってる間、おれ達は遊んでたわけじゃねェ!」
「おおともよ。いくつもの町を襲い、いくつもの海賊団を海に沈めてきた・・・!!」
「・・・仲間われか・・・!?」
ウソップは唖然として成り行きを見つめていた。
「・・・・・?」
ナミも肩の傷を押さえながら、同じように坂の上を見上げる。
「計画通りに進めなかっただけで、やすやすと殺されるようなおれ達じゃねェ!!」
「ブランク3年のあんたが、現役の、しかもこの”ニャーバン・兄弟”に勝てるかってことだ!!」
その言葉に、他の海賊たちも思い直し始めた。
「それは言えてるかもしれねェ・・・」
「あの2人が組めば、ジャンゴ船長だって勝てやしねェんだ・・・」
「実質、今ウチの”最強”はあのコンビ・・・」
「・・・・・」
クロは黙ったままメガネのズレを直す。
「あんたはもうおれ達のキャプテンじゃねェんだ!!」
「黙って殺されるくらいなら、殺してやる!!!」
そう叫ぶと、ブチとシャムは猛然とクロに突っ込んで行った。
「シャアアア!!!」
2人のカギヅメがクロに襲いかかる。
しかし、斬り裂いたのはクロが持っていたかばんだけ。本体は、いない。
「誰を、殺すだと?」
クロの声が、ブチとシャム2人の後ろから静かに響いた。
「・・・!?いつの間に背後へ・・・」
ウソップは成り行きをずっと見つめていたハズだが・・・、クロがいつ攻撃を避けたのかわからなかった。
「・・・・・!!」
「でた・・・、ぬ!”抜き足”!!」
坂の下の海賊たちが怯える。
「・・・何だ、あの武器は」
ゾロの視線の先には、武器を構えたクロの姿があった。
彼の武器は”ニャーバン・兄弟”のカギヅメの武器に似ているが、より鋭く長い爪が伸びている。
「・・・・・」
何かを期待しているのか、それとも諦めているのか、ジャンゴは黙って戦況を見つめている。
その後ろで、ナミはジャンゴに悟られないようゆっくりと身体を起こした。
「回り込まれたか!!」
ブチとシャムの2人が後ろを振り向く。
しかし、そこにはもうクロはいなかった。
「え?」
「い・・・いねェぞ・・・」
「お前らの言うことは正論だな」
クロが後ろから両腕で2人の肩を抱く。
またしても、目に見えない速さでの移動だった。
「いっ!!!」
「ヒィ!!!」
2人が怯える。
「いまひとつ体にナマリを感じるよ」
クロはそう言いながら、両親指から伸びている爪の切っ先をブチとシャムに向けた。
「確かにおれはもうお前らのキャプテンじゃねェが・・・、計画の依頼人だ・・・!実行できなきゃ殺すまで!!」
「あの”ニャーバン・兄弟”が捕まるところなんて初めて見た・・・!!」
海賊たちが息を呑んだ。
その後ろでナミも同様だった。
─── ・・・!刀1本とはいえ、ゾロを圧してたやつらがまるで子供扱い・・・!!!
「何を期待してやがる、てめェら・・・」
ジャンゴが吐き捨てるように言った。
「あの男の”抜き足”は無音の移動術。暗殺者50人集めても、気配を感じる間もなく殺される。おれ達はこの計画から逃れられやしねェんだ。それに・・・」
ジャンゴが続ける。
「3年ぶりに会ってあのクセを見たときはゾッとしたぜ。”猫の手”で自分の顔を傷つけねェための、あの男の奇妙なメガネの上げ方・・・。まだ戦いを忘れてねェ証拠だ・・・!!」
クロの爪の切っ先がブチの首に突き刺さる。
「いでェっ!!!いで・・・」
「3年もじっとしてるうちに、おれは少し温厚になったようだ・・・」
クロの声が冷たく響く。
「5分やろう。5分でこの場を片付けられねェようなら・・・、てめェら1人残らずおれの手で殺してやる」
「!!!!」
「死にたくねェよォーっ!!!」
その言葉に、海賊たちが叫ぶ。
「5分・・・」
”ニャーバン・兄弟”が息を呑む。
「ケッ・・・」
ゾロが毒づく。
「畜生ォっ!!こんな奴が3年も同じ村に住んでたなんて・・・!!!」
ウソップが叫ぶ。
「5分・・・。5分ありゃあ何とかなる!!」
ジャンゴも自身に言い聞かせるようにつぶやいた。
その後ろで、ナミが少しづつ後ずさる。
ジャンゴの意識は今自分に向いていない。
そう気づいたナミは、その隙にそっと移動した。
”ニャーバン・兄弟”が叫ぶ。
「あいつだ!あいつさえブッ殺せば!!!おれ達はこの坂道を抜けられるんだ!!!」
「そうさ、さっきまでおれらが圧してた相手だ!」
「たいして強かねェ!5秒で切りさいてやる!!!」
その時だった。
「ゾロ!!」
ナミが叫ぶ。
「刀っ!!」
ナミはゾロの刀を2本とも高々と蹴り上げた。
「てめェは・・・!!おれの刀まで足蹴に・・・!!」
それは寸分違わず、ゾロの元に飛んでいく。
ナミがにっと笑う。
「・・・お礼は?」
「あァ・・・」
─── 助かった・・・!!
「ありがとう!!」
ゾロが刀をがっちりと掴む。
そのゾロに”ニャーバン・兄弟”が襲い掛かっていった。さっきとは表情がまるで違う。
彼らも自身の命がかかっている。必死であった。
「シャアアアーッ!!」
「無駄だ無駄だ!刀3本使っても、実力は同じだ!!!」
「わかってねェな・・・」
ゾロが静かに言った。
「”刀3本使うこと”と”3刀流”とじゃ意味が違う」
「シャアアーッ」
”ニャーバン・兄弟”のカギヅメがゾロに襲い掛かる。
ゾロは1本を口に構え、残りの2本を肩に背負うように構えた。
「虎・・・」
「狩り!!!!」
ガシュッ!!!
一瞬の斬撃。
斬られた二人は声もなく坂道を転がっていく。
「い・・・!一撃っ!!!」
「あの”ニャーバン・兄弟”を!!!」
海賊たちがどよめく。
ゾロは刀の切っ先をクロに向けた。
「心配すんな・・・5分も待たなくてもお前らは1人残らず、おれが始末してやる」
「やってみろ」
クロがメガネのズレを直す。
その表情は往年の海賊、キャプテン・クロそのものだった。
「─── ハァ・・・ハァ・・・あいつ・・・。くそ・・・、ブ・・・ブッ殺してやる!」
ゾロの背後でよろよろとブチが起き上がる。
虫の息だが、意識が飛ぶまでには至らなかった。
そして叫ぶ。
「せ・・・船長っ!ジャンゴ船長、催眠をかけてくれ!」
「生きてるぞ、ツメが甘いな・・・」
クロが冷たく言い放った。
ゾロも振り返る。
─── タフな脂肪のおかげで助かったか・・・。
「!」
「ぬ゛っフーン!!!」
ゾロに斬られて虫の息だった筈のブチが、復活している。
目つきもこれまでと違う。
「まさか・・・!また催眠か!?」
ゾロは焦った。
─── あいつは厄介だ・・・!ただでさえ地面にヒビを入れる奴なのに、パワーアップしたらどうなっちまうんだ!
「ん?」
ジャンゴは気づいた。
後ろにいたはずのナミが船の方に向かって走っていく。
─── チャンス!今のうちにあいつを起こさなきゃ!ったく、こんな大変な時に何のんびり寝てんのよ!!
「今度は何する気だ、小ざかしい女め!死ね!!」
ジャンゴがナミに向け、チャクラムを飛ばす。
「みんな大ケガして戦ってるってゆうのに、コイツったら!!」
ナミは船首の下敷きになって眠りこけているルフィの顔を思いっきり踏んづけた。
「起きろォ!!!」
「ぶっ!?」
チャクラムがナミに襲い掛かる。
それに気づいたゾロが叫ぶ。
「ナミ危ない!よけろっ!!!」
「え」
振り返ったナミの視線上に、猛スピードで自分の元へ飛んでくるチャクラムがあった。
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