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第34話 執事クラハドール

「何だっ!?」

ルフィは目を覚ました。
何かが、ほっぺたの上に乗っかってる。
と、言うか・・・踏んづけられてる。

そして、当の踏んづけたナミはジャンゴのチャクラムに狙われていた。

「真っ2つになれっ!!!」
「きゃああ!」

ギュルルル・・・。

目の前に迫るチャクラム。

「あれは・・・チャクラムっ!!?ただの催眠の道具じゃなかったのか!!」

ウソップが頭を抱える。だが、彼には何もできずただ見てるしかない。
しかし、残念ながらそんな状況はまったくわからない男が1人。

「お前かナミィ!!!」

ルフィが立ち上がる。・・・ナミと飛んでくるチャクラムの間に。

「よくも顔フンづけやがっ・・・」

ざくっ!!

それは・・・、キレイにルフィの後頭部に刺さった。

「!!!?」
「ルフィ!!!」

ルフィはゆっくりと前のめりに倒れていく。
ジャンゴは目を疑った。

「な!!・・・あいつ、まだ生きて・・・!!!」

ゾロも息を呑む。

「何て間の悪ィ奴、と言うか・・・いい奴と言うか・・・!!!」

ウソップは驚きすぎて声も出ない。
クロは、その男に見覚えがあった。

「あいつは・・・・・!?」

─── 崖から落ちて死んだ筈じゃあ・・・!!!

倒れこんでいくルフィはギリッと奥歯を噛むと、大きく一歩踏み出した。

「バカな!踏みとどまったっ!!!」

ジャンゴが叫ぶ。
ルフィは頭に刺さったチャクラムを抜いた。

「・・・何にしてもこれで・・・」

それを見て、ゾロは安心したようにつぶやいた。
しかし、安心できないのは海賊の皆さん。

「・・・あ」
「あ・・・!!!」
あいつが復活したァ~~~っ!!!

いっ・・・てェ~~~~~っ!!!

海賊たちと同じくらいの声量で、ルフィが叫ぶ。
そりゃ、痛いでしょ。

海賊たちはおののいた。

「まずいっ・・・!これじゃ」
「5分以内には・・・!!!」

ルフィは涙目でナミに怒鳴りつけた。

「いてェな、コノォ!!!」
「私じゃないわよ!!」

それだけ言うと、ナミは崩れ落ちるように座り込んだ。
ルフィが気づく。

「・・・お前、肩ケガしたのか」
「何でもない、平気・・・。とりあえず私のやれることはやったわ、後は任せる!」

そしてナミは力強くルフィに笑いかけた。

「この戦い・・・、絶対に負けるわけにはいかないものね!!」
「お前・・・」

ナミは力強くこぶしを握る。

「宝のために!!!」

ですよね。

「んん!結果オーライ!それがお前だ!」

ルフィも納得。

「─── なんだ、わる執事も来てるよ・・・」

ようやくルフィは坂道を見上げた。

「皆殺しまで・・・後3分」

クロが腕時計を確認する。

「そんな・・・無茶だ・・・!」
「ジャンゴ船長とブチさんと言えど、たった3分であいつらを仕留めるなんて・・・!!!」

海賊たちが叫ぶ。

ジャンゴがブチに大声で指示した。

「ブチ!考えてる暇はねェぞ。お前はあのハラマキを殺れ!!」
「ヌン」
「おれが麦わらの小僧を・・・!!」

その時、クロの背後に人影が。

「!」

「クラハドール!!!もうやめて!!!」

「!!!」

そこには息を切らせて立つ、カヤの姿があった。







ウソップが叫ぶ。

「カヤ!お前・・・、何しに・・・!!!」

ジャンゴも叫ぶ。

「オイ、あいつは屋敷の娘じゃねェか!あれは計画の最終目的だぜ・・・!?」

海賊達もどよめいた。

「じゃあ・・・村へ行く必要ねェのか!?」
「あの女殺しゃあいいんだよな・・・」

クロは振り返り、静かに言った。

「これは驚いた・・・、お嬢様なぜここへ・・・?」
「─── メリーから全部聞いたわ」

カヤも息を整えながら言った。

「・・・ほう、あの男まだ息がありましたか」

表情が冷たく変わる。

「ちゃんと・・・殺したつもりでしたが・・・」
「・・・・・!!?」

─── 違う・・・!本当に・・・クラハドールじゃない・・・!!!

「・・・ごめんなさい、ウソップさん・・・!!」

カヤは言った。

「謝っても許してもらえないだろうけど・・・、私、どうしても信じられなくって・・・!クラハドールが海賊だなんて・・・」
「そんなことはどうでもいいっ!!何でここへ来たんだ、おれは逃げろって言ったんだ!!!お前は命を狙われてるんだぞ!!!」

ウソップが怒鳴る。
しかしカヤはひるまなかった。

「あなたは戦ってるじゃない!!!」

カヤは言う。

「私達はウソップさんにあんな酷い仕打ちをしたのに!そんなに傷だらけになって戦ってるじゃない」
「おれはだから・・・!ゆ!勇敢なる海の・・・」

「クラハドール!!」

ウソップの言葉が終わる前に、カヤはクロに告げた。

「私の財産が欲しいのなら全部あげる!だからこの村から出て行って!!!」
「─── 違いますね、お嬢様」

クロはメガネのズレを直す。

「・・・金もそうだが、もう1つ私は”平穏”が欲しいのです」

クロは続けた。

「ここで3年をかけて培った村人からの信頼はすでに、なんとも笑えて居心地がいいものになった。その”平穏”とあなたの”財産”を手に入れて初めて計画は成功する。・・・つまり、村に海賊が攻め入る事故と、遺書を残しあなたが死ぬことは絶対なのです」
「!!」

ウソップが叫ぶ。

「逃げろ、カヤ!そいつにゃ何言っても無駄なんだ!お前の知ってる執事じゃないんだぞ!!!」

しかしカヤはコートの内ポケットからあるものを取り出して、クロに向けた。
父親の形見の、銃だ。

「村から出て行って!!!」

震える腕で、銃を構える。
しかし、クロはそんなものは気にも留めない様子でゆっくりと話し始めた。

「なるほど・・・、この3年であなたもだいぶ立派になられたものだ・・・」
「!?」
「覚えていますか?3年間いろんな事がありましたね。あなたがまだ両親を亡くし床に伏せる前から、ずいぶん長く同じ時を過ごしました。一緒に船に乗ったり、町まで出かけたり・・・。あなたが熱を出せばつきっきりで看病を・・・。共に苦しみ、共に喜び、笑い・・・、私はあなたに尽くしてきました」

「夢見るお嬢様にさんざんつきあったのも、それに耐えたことも・・・」

「全ては貴様を殺す、今日の日のためっ!!!」

冷徹な目でクロはカヤをにらむ。
カヤはこらえきれずに涙を流していた。

「野郎・・・」

ウソップの怒りはもう、頂点まで来ていた。

「かつてはキャプテン・クロを名乗ったこのおれが、ハナッたれ小娘相手にニコニコへりくだって、心ならずもご機嫌取ってきたわけだ・・・。わかるか?この屈辱の日々・・・」

カヤの手から銃が落ちる。
本当は1パーセントもないかもしれない望みに懸けていた。
クラハドールが改心してくれるかもしれない望み。
でも・・・、それは本当にもう叶わない・・・。

クロォオオおーっ!!!!

ウソップは猛然とクロに飛びかかって行った。
カヤはただ、それを見ているだけしかできなかった。

─── ウソップさん・・・!!?

しかし、ウソップの決死の行動もクロには通じない。
音もなくそれを避ける。

「ウソップ君・・・、そういえば君には・・・殴られた恨みがあったな・・・」
「!!?」

クロの目が光る。

「思いっきり殴ってくれたよな・・・!」

ウソップに襲い掛かろうとしたその時だった。

ドゴォ!!!

轟音とともに、クロが吹っ飛ぶ。

「な・・・何だ!!?C(キャプテン)・クロがブッ飛んだ!!!」

ジャンゴが叫ぶ。

「殴られるのがそんなに嫌なら、あと100発ぶち込んでやる!!!」

ルフィのパンチがクロの顔面にキレイにヒットしたのだ。
坂の下で彼はこぶしを構えてにっと笑う。
戦闘準備は万端だ。
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